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病院経営の改善 難題にも平常心で臨む

病院経営の改善 難題にも平常心で臨む


院長(あお・まさかず)

1981年自治医科大学医学部卒業。
岡山済生会総合病院形成外科、岩国医療センター副院長などを経て、2020年4月から現職。

 約80年の歴史を刻む独立行政法人国立病院機構岩国医療センター。新築移転で高度急性期機能を高める。青雅一院長は「地元完結型医療の体制整備」と「病院財政の改善」という大きな使命に意欲を燃やす。

ハードソフトの質向上 入退院サポートに尽力

 遠くに瀬戸内海や米軍岩国基地を望む高台に、清潔感の漂う病棟が建つ。2013年、約4㌔南から新築移転してきた。「ハード、ソフト両面で病院の質がより高まりました」。PET―CTや手術支援ロボット「ダビンチ」、高精度放射線治療装置など最新鋭の機器を導入。2018年には、がんゲノム医療連携病院の指定を受けた。

 2014年に「特命副院長」に就いた青院長が、中心となって推進したのが、入退院センターの新設だ。全身麻酔に関するスクリーニング検査、退院後の生活環境の確認、経済状況の把握、それらを踏まえたきめ細かい入退院計画づくり―。患者に寄り添ったセンターを立ち上げようと、県内外の病院へ視察を重ねた。

 2年前には、センターと地域連携室とを連動させた新組織を開設。「快適な入院生活がかなうよう、改善を続けます」

地元完結型医療を急ぐ 新型コロナ禍も超えて

 周辺地域では人口減少が急激に進む。救急患者を受け入れる医療機関は少なく、岩国医療センターには3次・2次救急の搬送が一極集中。昼夜を問わず1次救急の受け入れもあるという。「当直医は大変な状況の中で懸命に働いてくれています」

 とは言え、医療者の「働き方改革」は喫緊(きっきん)の課題。人材確保は悩みの一つだ。医師の主な〝供給源〟は岡山大学の医局。「ただ、岡山市や広島市など都市部を飛び越えて、この地に人材を呼び込むのはなかなか難しいのですが」と打ち明ける。

 緊急手術の患者を県外の医療機関に搬送せざるを得ないケースがあり、「人材不足が患者の流出を招いている」と懸念。「何より地域の患者にとって負担となる。『地元で完結できる医療』の提供体制を早急に築きたい」と力を込める。

 巨額な新築移転費の影響が続く病院経営。その改善は、特命副院長時代からの重要課題だ。無駄の削減などの結果、単年度収支は改善傾向にあるという。

 しかし、そんな中での新型コロナウイルスの感染拡大。5月だけで億を超す赤字となった。「ここを乗り切り、地元完結型医療の確立を収入増につなげたい」

駆け出しは雪深い山村 岩国で人生を再出発 

 地域医療への関心から医師を志した。自治医科大学を卒業後、古里の岡山県にUターン。中国山地沿いの雪深い村の医療機関などで9年間働いた。

 当時は皮膚科を専門にしようと考え、休日は都市部での学会や大学病院のカンファレンスに足を運んだ。じきに形成外科分野が注目され、「メスを握るなら形成だ」と方向転換した。

 形成外科は後期臨床研修で1年学んだ。「遅いスタート。素人からの学び直しです」。顕微鏡を使いながら微細な血管や神経をつなぐマイクロサージャリーの専門性を磨いた。「その分野の外科医としては一人前になれたかな」と控えめに語る。

 岡山済生会総合病院形成外科に17年勤務。岩国医療センターが形成外科の立ち上げを担う人材を求めているのを聞き、「人生をリセットする気持ち」で心震わせて手を挙げた。

 座右の銘は平常心。若手には「3手先を考えよう」と指導する。目の前の事象や作業の先を読む。「手術室で30秒のロスが積み重なれば手術は長くなり、患者の負担も増えてしまいますから」。「田舎」の病院に新たな人材を呼び込み、働き方改革をしながら育て、経営も立て直す。数々の難題にも平常心で臨むつもりだ。

独立行政法人国立病院機構 岩国医療センター
山口県岩国市愛宕町1-1-1 ☎️0827-34-1000(代表)
https://iwakuni.hosp.go.jp/

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