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病院力の向上を目指して

病院力の向上を目指して

社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部東京都済生会 東京都済生会中央病院
院長(えびはら・たもつ)

1986年慶應義塾大学医学部卒業。同皮膚科学専任講師、同准教授、
東京都済生会中央病院副院長などを経て、2020年から現職。

 着任から半年が経過。「平時の院長就任とは趣が違いましたね。あっという間に過ぎた気がします」と振り返る。とはいえ、「日本一の病院力」という大きなビジョンに向かって、着実に歩を進めてきた期間でもあった。

新たな病院のあり方 探り、伝える

 ビジョンとして「病院力の向上」を掲げる東京都済生会中央病院。「総合力」「チーム力」「機動力」をキーワードに、医療機能の充実・向上、さらには新たな病院のあり方の模索、発信にも力を入れている。

 その一つが、4月に開設した「健康デザインセンター」。病院を、病気や障害がない人でも行き来できる場にすることをミッションとし、企業や学校も含んだ地域・社会と交流、連携する。

 まず、始めたのが「企業のかかりつけ病院」の役割を担う試みだ。「働き盛りの方は、検診結果に問題があっても、時間的な制約などからなかなか再検査を受けなかったり、受ける時期が遅れたりという傾向があります。そこで、企業と契約を結び、企業の産業医、保健師の方と連絡を密に取って、必要な方を当院に紹介いただき、受診につなげる手法を考えています」

 同院がある港区は企業が多く、昼間人口は夜間人口の4倍近く。「企業に勤める方にとって受診しやすい病院でありたいと思ったのがきっかけです」。すでに契約の話が進んでいる会社がある。

 2020年1月には、肝・胆・膵疾患早期発見プロジェクトも開始。原則1日で診察、検査、結果説明まで完了する専用予約枠を用意し、地域の開業医に、対象疾患のリスクが高い患者の紹介を呼び掛けた。

 「早く見つければ、手術ができ、救命できるのではないか。そう考えて、地域の開業医の方も巻き込んだプロジェクトを企画しました。これも、病院のあり方の一つだと考えています」

 2020年夏には、企業と共同で、診察の予約から診察、処方箋送付、会計までをオンラインで完結するための実証実験もスタートした。「まだ、限られた診療科・患者さんを対象に実施し、問題点を洗い出していく段階ですが、未来を見据えた開発に関わることも、大事な役割だと思います」

経営の力は「人」 誠意を持って伝える

 4〜6月、新型コロナウイルス感染症は、病院経営にも影を落とした。医師の派遣が滞り、病院附属の乳児院では職員の感染が判明した。

 「乳児院は、保護者との生活が困難な乳幼児が入所する場で、職員の感染がわかったからと言って、子どもを返す場所はありません。ほとんどの職員が濃厚接触者という中で養育を続けるため、当院の入院機能を縮小して看護師を養育へ。入院の窓口の一つである救命救急センターも一時的に閉鎖せざるを得ませんでした」

 患者を守る。職員を守る。その二つを念頭に、病院幹部や、院内の感染制御専門チームとの会議は週に2回。院長通信も定期的に発行し、起きていることを、職員に発信し続けた。「感染を予防しつつ、病院の診療機能をもとに戻していくことが、今の目標です」 

 4月に新設の「集中治療科」は集中治療専門医1人が常駐し、術後患者や重症患者の治療・管理を担当。従来、集中治療も兼務していた救急診療科と外科系診療科の医師の負担が減り、より安全で質の高い医療が提供できる体制が整った。今後は、外科系の医師、麻酔科の医師、手術室の看護師の確保を目指す。

 「医療は人が一番大事で、良い人が集まれば、経営は成り立っていく、と前任の高木誠先生(現名誉院長)から教わりました。リーダーにはさまざまなタイプがいますが、私は調整型に近い。状況を見極めて判断し、誠意を持ってうそ偽りなく伝え、職員と一緒に進んでいきたいと思っています」

社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部東京都済生会 東京都済生会中央病院
東京都港区三田1ー4ー17 ☎️03ー3451ー8211(代表)
https://www.saichu.jp/

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