九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

病院前救急診療を充実 北米型ERで全患者に対応

病院前救急診療を充実  北米型ERで全患者に対応


救命救急センター所長(のだがしら・たつや)

1988年自治医科大学医学部卒業。
下北医療センター国民健康保険大間病院、公立野辺地病院、
八戸市立市民病院救命救急センター副所長などを経て、2017年から現職。

 年間約2万4000人の救急患者を受け入れる八戸市立市民病院。その核を担う救命救急センターの取り組みは高く評価され、全国から研修医が集まる。2020年9月、青森県救急医療功労者知事表彰を受賞した野田頭達也所長に、同センターの特徴を聞いた。

―救命救急センターの特徴について。

 今明秀病院長が2004年に立ち上げられ、2009年にドクターヘリ、2010年にはドクターカーを導入。いち早く医師が現場に駆けつけ、一刻でも早い治療を実施する「病院前救急診療」の充実を図ってきました。

 八戸市を中心に県内半径50㌔程度の地域と岩手県北の一部をカバーしています。ドクターヘリの出動は年間約500件、ドクターカーの出動は年間約1500件。両方を数多く運用している病院は少なく、救急現場での活躍を目指す研修医にとっては多くのことを学べる場となっています。

 現在、ラピッドレスポンスカーと言われる小型タイプのドクターカーが2台。本来は1台で運用するのですが、複数の医師を現場に投入する場合には、同時に出動することもあります。

 また、3台目として、私たちが「V3」と呼ぶ簡易テント型の移動緊急手術室を持つドクターカー1台を所有しています。V3は、移動緊急手術室を擁したドクターカーで、より緊急の治療が必要な患者さんに対応できるようにと八戸工業大学と共同開発し、2016年から運用をスタートしました。

 車種はいわゆるミニバンで、救急の現場に到着すると後方のハッチをあけ、ここに長さ3〜4㍍ほどのテントを広げ簡易型の手術室を設置することができます。例えば、心停止の患者さんであれば、その場で人工心肺を取り付けることも可能になっています。

 V3の出動回数はそう多くはありませんが、救命の実績は確実に増えています。病院数も少なく、大都市とは事情が異なる八戸にとっては、重要な存在になっています。

―全国から研修希望者が集まっています。

 医師は東北のみならず、関東や関西、九州からも来ています。また、救急看護認定看護師をはじめ、救急を希望する看護師も各地から集まっています。

 当センターは北米型ERを採用しており、1次から3次まで、軽症から重症まであらゆる患者さんを受け入れています。重症集中治療室であるICUが30床、救急病棟が54床あり、かなり専門的な治療が必要な患者さんを除いて、脳梗塞や感染症、肺炎、心不全、外傷などの患者さんも、退院する日まで私たちが受け持ちます。

 ERであっても、治療や経過は他の診療科に任せるところもあるかと思いますが、このセンターでは患者さんを入り口から出口まで診ることで、医師として完全燃焼ができる。そして、あらゆる症例の患者さんに対応できる。救命救急の経験として、これはかなり大きいと思います。

 八戸という場所にありながら、どこにもない経験ができることが全国から集まってくる要因だと感じています。

―救急医療の質を保ち、人材を確保するには。

 特に研修医向けですが、外傷や心肺蘇生のトレーニングなど、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)を実施しています。これは医師にとっても、指導できる人材の育成というメリットにつながっています。

 救急医療の質は、助かるべき人が助かって、助かりそうもない人が何とか助かる、救命率をいかにあげるかではないでしょうか。そのような質の高い救急医療を維持し、当センターだから経験できることをしっかりアピールしていけば、救急に貢献したいという人材が、必ず集まってくると信じています。

八戸市立市民病院
青森県八戸市田向3─1─1
☎0178─72─5111(代表)
http://www.hospital.hachinohe.aomori.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる