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病院再編で生き残るために 教育環境の充実を

病院再編で生き残るために 教育環境の充実を

社会医療法人厚生会  
今井 裕一 病院長(いまい・ひろかず)

1977年秋田大学医学部卒業。
米テキサス州立大学ヒューストン校留学、
愛知医科大学腎臓・リウマチ膠原病内科教授、
愛知医科大学病院副院長などを経て、2017年から現職。

 2017年に多治見市民病院の病院長となった今井裕一氏は、赤字運営だった同病院を約3年で黒字化することに成功し、経営を立て直した。地域医療構想のもとで病院再編が進む中、生き残るにはどうあるべきだろうか。

―病院改革について。

 2010年に社会医療法人厚生会が運営母体となりました。もともとは市の運営でしたが、経営が難しくなり、同法人が担うことになったのです。その後、医師の確保が難しいなどの問題がありましたが、ようやく現在、黒字になりました。

 医師の数については、かつて30人ほどいたものの、一時は12人まで減りました。私の就任時には22人まで増えていたものの、そこから数が増えない。そこでさまざまな改革によって現在33人に。2020年には40人近くになると予想しています。

 看護師についても、少ないときは90人ほどだったのが、いまは160人ぐらいまでに増えています。

 病院再編が軌道に乗るまでは、数年から10年かかります。当院はそのモデルケースになるのではないかと思っています。

―取り組んだ内容は。

 病院再編には職員全員の意識改革と、一人ひとりのスキルやキャリアアップのための教育環境の整備が重要です。教育という軸で人を動かしていくことで、うまく回り始めました。

 まず取り組んだのは、研修医の受け入れです。以前は、研修医を積極的に受け入れていませんでした。そこで基幹型臨床研修病院にしようと、2017年4月の着任早々、8月が基幹型臨床研修病院の受け付け締め切りという中で、指定に向けて動き出しました。

 院内の教育体制などすべての条件を整えて申請し、2018年2月の国の審議会へ。指定基準はかなり厳しいのですが、結果的に全国で8施設が新たに認可され、その中に入ることができました。全員が意識を一つにして取り組んだ成果です。

 研修医の受け入れは教える医師のレベルアップにもつながります。人間は、人に教えるときこそ一番勉強になります。医師自身が、教えることが負担と捉えるのではなく、自分にプラスになるという考え方をすることが必要だと思います。

 事務職についても、一つの仕事だけではなく、いろいろな部署の仕事ができるように改革を行いました。欠員があっても助けられるし、個人のスキルアップにもつながります。医師事務作業補助者からスタートして医事のレセプトができるようになり、最終的には、そこから医事課の課長や部長になる人も出てきてほしいと思っています。

 一人ひとりが勤務時間にさまざまなことができるようになれば、業務がスムーズになり、働き方改革にもつながっていきます。当院の職員は、当直以外は午後5時にほとんど帰るという状況にまでなりました。

―今後の課題は。

 当院は9月26日に厚生労働省が公表した全国の公立病院・公的病院のうち再編の検討を要する424施設の一つに挙がりました。

 そこで10月7日、私と多治見市長で記者会見を行い、厚生労働省に公開質問状を出しました。実は、判定基準には、約2年以上前のデータが使われていたのです。この2年間で医療現場は大きく変化し、将来を論ずることは全くできません。当院は、すでに指定管理を受けて再生をしてきている病院であり今回の再編の対象になる理由がありません。

 先日も厚生労働省による東海北陸ブロックの関係者を対象とした地域医療構想の意見交換会が行われました。すでに看護師が辞める、医師が引き上げるなどの影響が出ている病院もあります。「2025年問題」を踏まえて、地域医療の在り方をどう考えていけばいいのか。今、患者さんも含め真剣に向き合わなければいけない時がきています。

社会医療法人厚生会 多治見市民病院
岐阜県多治見市前畑町3―43
☎0572―22―5211(代表)
http://kouseikai-tajimi-shimin.jp/

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