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病院を核とした魅力ある街づくりを構想

病院を核とした魅力ある街づくりを構想

独立行政法人地域医療機能推進機構 熊本総合病院
病院長(しまだ・しんや)

1980年熊本大学医学部卒業。
米国立衛生研究所(NIH)がん研究所留学、熊本大学大学院消化器外科、
熊本市民病院外科部長などを経て、2006年から現職。
独立行政法人地域医療機能推進機構九州地区担当理事兼任。

 熊本総合病院は八代市立病院の閉鎖に伴い、市の要請により56床の回復期病床を受け入れ、地域包括ケア病棟を開設した。病床数が増え規模も拡大、地域での存在感も増してきている。病院をけん引する島田信也病院長は、人口が減少する将来を見据えて、病院を核としたストック型街づくりの必要性を訴える。

―新設した地域包括ケア病棟について教えてください。

 八代市立病院から回復期病床56床を当院が引き継ぐことになりました。その受け皿として、2019年7月に地域包括ケア病棟を50床でスタートさせました。手探りでしたので移行当初は戸惑うこともありましたが、現在は病床稼働率が92%、在宅復帰率が94.5%と順調です。

 「他の急性期病院からも受け入れてくれるのか」とよく聞かれます。市からは、八代市立病院が果たしていた機能をそのまま受け継いでほしいと言われていますので、他の急性期病院からも、在宅復帰を目指す患者さんを受け入れられるよう体制を整えているところです。また、在宅療養中の患者さんを在宅担当医療機関から当院に事前登録していただくことで、万が一の患者さんの急な状況悪化にも対応できる在宅療養後方支援病院としての体制づくりも進めています。

―高度急性期病院としては。

 より充実した高度先進医療の提供にも取り組んでいます。2018年8月には手術支援ロボット「ダビンチ」の最新型「Xi」を導入し、前立腺がん、直腸がんに続いて、2018年9月から胃がんの手術も行うようになりました。「ダビンチ」はメンテナンス費用が高額ですが、地域のロボット手術の発展のため一肌脱ぐことにしました。

 2019年4月には約10億円をかけて院内情報システムを全て更新しました。この減価償却費も大きいのですが、地域包括ケア病棟を上手に運用することで、こうした費用の穴埋めができればと考えています。

―病床数が400床に増え、大規模病院になりました。

 大規模病院になったのを機に、私が担当理事を務めるJCHO九州地区事務所を、北九州から八代に移しました。これによって、13人ほどの事務所職員が八代市に移り住むことになり、JCHOの九州地区の研修も八代市で開催されることになりました。研修の参加者は年間1500人に上りますから、地域の活性化に貢献できました。

 私は、医療と街づくりは車の両輪だと思っています。例えば、赤字続きだった当院の経営が軌道に乗ったことで、閉鎖中だった近隣のスーパーマーケットが2店舗再開しました。マンションも次々に建設されています。職員数も、私の赴任当時は400人弱でしたが現在は850人です。病院が活性化すれば、薬、医療機器、リネンなど関連する企業で雇用も生まれます。医療の裾野は広く、その経済波及効果は公共事業よりも高いとされています。

―病院長が構想される病院を核とした街づくりとは。

 この5年間で熊本県の人口は5万人減少しました。地方都市は街づくりができなければ人口が流出します。絶えず新しさを追求するスクラップ&ビルドの街づくりではなく、100年後にレガシーとして残るストック型の街づくりです。

 当院もその願いを込めて建てました。1階ロビーには私が選んださまざまなジャンルの全集を置いています。時々、待ち時間にそれを読んでいる患者さんを見かけます。病院が文化を育む場所になっているのです。

 少子化を阻止するには、若い人たちに自分の街を誇らしく思ってもらい、文化を育み、安心して子どもを産める環境をつくることが大切です。その核になるのが病院だと思っていますし、そのような街づくりに貢献したいと考えています。


熊本県八代市通町10―10
☎0965―32―7111(代表)
https://kumamoto.jcho.go.jp/

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