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病院をテーマパーク化 社会課題の解決へ

病院をテーマパーク化 社会課題の解決へ

独立行政法人国立病院機構 菊池病院 渡邉 健次郎 院長(わたなべ・けんじろう)
1980年熊本大学医学部卒業、1988年同大学院卒業。
県立宮崎病院精神科、国立病院機構熊本医療センター精神科部長、
同統括診療部長・地域医療連携室長などを経て、2019年から現職。

 熊本市街地から約20キロメートル、合志原台地にある菊池病院。今年4月に就任した渡邉健次郎院長は、この自然豊かな病院の環境を生かして、「病院をテーマパークにする」という、まったく新しい発想を思いついた。新院長が描く、これからの時代に必要な病院とは。

熊本地震を経て新病棟建設へ

 かつては結核療養所であった菊池病院が、1977年の精神療養所への転換にともない、のどかな田園風景に囲まれた現在の場所に新築・移転された。それから約40年たった2016年、熊本地震により病棟の一部が被災する。

 「入院患者さんは無事でしたが、震災後は残った施設をなんとか利用して乗り切ってきました。被災した病棟が、来年1月にはようやく新病棟として竣工する予定です」と語るのは、4月に就任したばかりの渡邉院長。

 これまで「認知症の医療・看護・ケア」「医療観察法医療」「動く重症心身障害児(者)の療養」の三本柱であった菊池病院。渡邉院長はそこにもう一つ、他施設との連携強化を訴える。

 「私が以前勤務していた熊本医療センターの精神科から、民間の精神科病院では難しいIVH(中心静脈栄養)管理やリハビリテーションが必要な患者さんを受け入れたい。熊本大学病院とも連携し、熊本県の精神科医療を支えていきたいと思っています」

病院を公園化するテーマパーク構想

 さらに渡邉院長は、着任してすぐ、自然豊かな環境を生かした新しい試みを思いつく。それが「菊池病院テーマパーク構想」だ。テーマは「健康」。広大な敷地を一つの公園と見立て、病棟の近くの広場に花公園を整備し、外来棟近くの森林をキャンプ場とグラウンドゴルフ場へ。体育館、音楽会が開ける多目的棟といった既存の施設も活用する。病院の周囲には、遊歩道を整備する計画だ。

 「実は計測をすると周囲の距離がぴったり1㌔! これは奇跡だと思いました。森林浴をしながら散歩やランニングができます」

 公園化した病院敷地は一般に無料で開放する。患者が地域の人とふれあえる場となり、職員の園芸部、運動部、音楽部などの活動にも活用する。さらには、この構想が「ひきこもり対策」にもつながると語る。

 「ひきこもりに悩む本人、家族のための居場所として、活用したい。キャンプ場予定地の横に研修センターがあるので、ここに相談員を常駐させ、無料相談・就労支援・生活支援のアドバイスをする予定です。受診をためらう人たちに来てほしい」

恩師の思いを引き継ぐ

 かつて、この病院の精神療養所への転換に尽力した当時の院長・宮川太平氏は、熊本大学の教授であり、渡邉院長が所属していた野球部の部長だった。「野球部部長としても、精神科教授としても尊敬している先生で、大変影響を受けました」

 実は、前任の熊本医療センターで定年を迎えようと思っていたところ、恩師である宮川氏から声を掛けられ、院長を引き受けた。

整備後のイメージ図

 テーマパーク構想は、まず合志市と無料巡回バス運行の交渉が始まるなど、行政と共に着々と準備を進めている。「ここは、宮川先生がすべてをかけてつくられた病院です。これまでにない発想で、全国の病院に発信できるような病院をつくっていきたいと思います」

独立行政法人国立病院機構 菊池病院
熊本県合志市福原208 ☎096―248―2111(代表)
https://kikuchi.hosp.go.jp/



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