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病院の移転新築計画 地元の医療系大学と連携

病院の移転新築計画 地元の医療系大学と連携

独立行政法人労働者健康安全機構 福島労災病院
院長(わたなべ・つよし)

1974年東京大学医学部卒業。米ミシガン州立大学生化学部留学、東京大学医学部附属病院、
福島県立医科大学内科学第三講座(現:腎臓・高血圧内科および糖尿病内分泌代謝内科学講座)教授
などを経て、2015年から現職。福島県立医科大学特任教授兼任。

 福島労災病院の移転計画が進み始めている。いわき市中央台への病院移転によって、看護師や薬剤師などを養成する医療創生大学(旧:いわき明星大学)との連携を強める方針だ。現在の進行状況について渡辺毅院長に聞いた。

―病院移転の計画について。

 かつてこの地区にあった常磐炭鉱の労災に対応することを目的に、1955年につくられた病院です。国内でエネルギー政策の転換などが進められた時期に、炭鉱は閉鎖となりました。その後は、地域住民の急性期医療を支える病院として運営してきました。

 同じ内郷地区にあるいわき市医療センター(旧:いわき市立総合磐城共立病院)が、2018年に建物を新築。同院は病床数が700床、同じ急性期病院ということもあり、当院の運営に少なからず影響を及ぼしています。

 当院の病院建物は、古いものだと60年を超えています。東日本大震災による建物の被災もあり、病院新築は急務です。

 そのような時に、医療創生大学から同大学の遊休地に病院を移転新築しては、というお話をいただいたのです。現在地を離れることにはなりますが、いわき市全体の医療を考えると医療センターが北部、当院は南部を診るという役割分担にもなります。

 また、福島県は急性期、特に脳卒中や心筋梗塞といった疾患での死亡率が非常に高く、いわき市はさらに高率です。

 これは病院、つまり救急医療の地域偏在も理由の一つではないかと考えています。南部への移転を決断したのは、そのような課題を解決したいという側面もあります。

―移転新築の進行状況は。

 医療創生大学は、看護師や薬剤師の養成に加えて、2020年4月には新たに公認心理師や臨床心理士を養成する心理学部を開設する計画があります。

 実習先の確保という意味でも、大学に隣接して病院ができることが期待されています。実習を受け入れることは私たちにとっても、医療職の確保につながると考えています。

 2017年、いわき市、医療創生大学そして当院の3者で病院移転の基本合意を結びました。これに伴い現在、移転予定地と病院の土地の等価交換を実施するための手続きが進められています。

 新病院建設を機に、これまでなかった脳神経外科など、新たな診療科の開設も考えています。脳血管や循環器系の疾患に対する医療の充実は、地域にとって不可欠であり、労災病院の役割の一つである「患者さんの就労支援」への貢献にもつながると考えています。

 災害拠点病院の指定も目指しており、すでにDMATを編成するなど、準備を進めています。新病院の建設計画をきっかけに、医師の派遣についても、各大学で前向きに検討いただいています。

―福島第一原発の職員の健康管理をされています。

 厚生労働省の委託事業として、現場で廃炉作業をしている方の健康管理に携わっています。月に2回程度、発電所内の事務棟にある健康相談室で相談などに応じます。主に私が担当し、間もなく3年になります。

 作業員は県外の方の比率が高いため、単身赴任者も少なくない。また飲酒をする人も多く、喫煙率も高い。その結果、生活習慣病になりがちです。

 健康診断の結果に基づいて、食事面のアドバイスなど必要に応じた保健指導もしています。当初は作業中の熱中症対策などもしていましたが、現在はずいぶん減りました。

 福島県の労働者の健康を守ることは当院の役割の一つです。廃炉作業は数十年かかる見通しのようですが、一人でも多くの職員が健康を維持しながら作業に関われるようサポートしたいと思っています。

独立行政法人労働者健康安全機構 福島労災病院
福島県いわき市内郷綴町沼尻3
☎0246―26―1111(代表)
http://www.fukushimah.johas.go.jp/

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