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病院、サ高住など一体で「在宅ホスピス」を推進

病院、サ高住など一体で「在宅ホスピス」を推進

医療法人生寿会 亀井 克典 理事長(かめい・かつのり)
1982年秋田大学医学部卒業。組合立諏訪中央病院内科主任医長、
白浜医療福祉財団白浜はまゆう病院院長などを経て、2010年から現職。

 「在宅ホスピス」に名古屋市で積極的に取り組むのが、医療法人生寿会。運営する病院や高齢者施設が連携し、患者を支える。亀井克典理事長は「患者、家族との対話が、うまく進めるためのカギ」と話す。

―在宅での緩和ケアに取り組んでいます。

 長く緩和ケアに携わってきた中で、「在宅ホスピス」という考え方に行きつきました。地域の人たちの命と暮らしに寄り添い、在宅療養生活を支えることが自分たちの使命だと考えます。

 外来、在宅ケア、入院、施設入居の四つの機能を組み合わせ、多職種が連携して総合的に支援します。「在宅ホスピスはまゆう」と呼ぶこのシステムは、運営する名古屋市昭和区の「かわな病院」、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「アンジュかわな」、同市千種区の「覚王山内科・在宅クリニック」で進めています。

 「アンジュかわな」には、がん緩和ケア専用居室を設置。がん末期患者が常時7、8人入居しています。都市部では、家族による介護が崩壊状態。安心できる住まいを提供した上で、在宅医として支えたいと思っています。

 在宅ホスピスで最も大切なのは、患者本人や家族との対話。受診前には、原則として家族と事前面談をします。可能な限り、医師のほかに看護師、ソーシャルワーカーも同席。家族関係や療養環境、その時の思いを聞き取ります。ここできちんと信頼関係を築いておくことが重要です。

 症状はどんどん変化します。それに伴って、気持ちも揺れ動く。自宅での生活が難しくなれば、施設入居もできます。状態が悪くなれば、入院も可能。

 本人、同居家族と話し合って方針が決定しても、別居家族が反対して一からやり直し、なんてことも。それでも常に話し合いを続け、最善の選択を目指します。

 経験上、自宅での看取(みと)りは家族の満足度が高い。しかし、今の50~60代は自宅で看取りをした経験が少なく、人が亡くなるプロセスを見たことがないので、必要以上に不安が強いと思います。

 在宅ホスピスは、東京都小平市のケアタウン小平の例が有名ですが、名古屋地域ではまだ概念自体が浸透していない。これからもっと広めていきたいと考えています。

―在宅ケアに力を入れ始めた経緯は。

 当法人は、本院のかわな病院を中心に、病院、クリニック、介護老人保健施設など35事業所を県内で展開しています。当初は透析治療を強みにしていました。現在も、東郷町や岡崎市のクリニックは透析専門です。

 しかし、これから人口減の時代であり、新たな治療法開発や生活指導などにより、透析に入る人自体も横ばいから減少します。もう一つの柱として、高齢者医療・介護に力を注ぐことに。これは地域医療を守るためにも必要でした。

 理事長就任以降の約10年で、本格的に在宅ケア事業を進めました。現在、かわな地区での訪問診療の患者数は700人弱。4月には、それまで別々に運営していた訪問看護、ヘルパーステーション、訪問リハなど在宅ケア事業を集約し、「オフィスはなみずき」を開設。横の連携を強化しました。

 夜間の呼び出しへの対応は、これまで主治医制でした。7月からは、土日祝日も含めたすべての曜日で、非常勤も含めた当番医制に。医師の負担軽減のため、運転手も必ず同行します。

―今後の展望は。

 東京では2016年、がん患者や家族らがいつでも専門家に相談できる生活支援施設「マギーズ東京」ができました。こういう場を、名古屋にもつくりたい。

 大きな病院には相談窓口がありますが、あくまで治療の延長線上。そうではなく、もっと自由に集える場が必要。数年先、実現できたらいいなと思います。

医療法人生寿会
名古屋市昭和区山花町50
☎052―761―3225(かわな病院代表)
https://www.seijukai.or.jp/

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