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病診連携強化し難病治療を推進

病診連携強化し難病治療を推進


教授(むらかわ・ようこ)

1982年島根医科大学(現:島根大学)医学部卒業。
米国立衛生研究所、聖マリアンナ医科大学免疫学病害動物学講師、
島根大学医学部附属病院診療教授などを経て、2020年から現職。
同院膠原病内科診療科長兼任。

 難病治療の地域拠点として、2019年に設立された島根大学医学部附属病院難病総合治療センター。2020年4月に教授となった村川洋子氏は、これまでに培った病診連携のノウハウなどをセンター運営に取り入れ、より多くの患者をサポートしたいと考えている。

島根の地で医師の道へ

 東京で生まれ育ち、大学進学を機に島根の地を踏んだ。地方での生活に当初は戸惑ったが、徐々にそれ自体を楽しめるようになったという。そして卒業後も大学に残り、膠原病、脳神経内科、血液内科などを扱う第三内科に入局する。

 「学生時代、後に私の上司となる先生が膠原病の授業を担当。免疫のメカニズムに起因する病気であることを知り、面白いと感じました。また、実習の際に膠原病で苦しんでいる若い患者さんの姿を見て、原因を突き止めたいと思ったことが、第三内科を選んだ理由の一つです」

 入局後は主に膠原病の診療と研究に従事し、関連病院での勤務も経験。「へき地で患者さんを診ているうちに、地域への愛着が湧くと同時に、病診連携の重要性も実感しました」。その後、地域の医療機関とのネットワークづくりにも携わることになる。

膠原病内科で築いた「出雲リウマチネット」

 米国留学や神奈川の大学病院などを経て再び島根に戻り、2006年からは島根大学医学部附属病院膠原病内科の診療科長に就任。現在も難病総合治療センター教授と兼任している。

 膠原病内科の大きな強みは病診連携だ。地域のクリニックや一般病院と共に関節リウマチの治療を行うため2012年に「出雲リウマチネット」を発足させた。

 「関節リウマチの最新治療には、やや強い薬剤を用います。この薬剤を多くの患者さんに使っていただくには、地域のかかりつけの先生方と連携する必要があるのです。リウマチネット発足後は、お互いに患者さんの情報を密に共有しながら、定期的(数カ月〜1年に1回)に当院が診療を行うシステムを構築しました」

 さらに力を入れてきたのが、妊娠に関する問題という。これまで膠原病やリウマチ性疾患などを抱えた若い患者、家族に対して、産科や小児科などの医師と共に、「病気と薬・妊娠」をテーマにした市民講座を開催してきた。

 「患者さんの妊娠はリスクがあると思われていますが、現在は安心して出産できます。今後も各科と協力して、啓発活動や研究を続けたいと思っています」

センターを拠点に

 2019年、島根大学医学部附属病院は難病診療連携拠点病院に指定され、難病総合治療センターが設立された。ここでは全ての難病に対して各科の専門医が診療に当たり、新生児マススクリーニングをはじめとした各種検査や、患者の相談・支援も実施している。

 「私が就任して以降は、薬剤師による外来薬剤指導も行っています。少々複雑な薬や治療に関して、分かりやすく説明できるようになり、患者さんの評判もかなり良くなっています」

 さらに今後は、移行期医療についてもメスを入れたいと語る。小児科を受診していた難病患者が成人になった際、スムーズに各科へバトンを渡せるようなシステムを構築する予定だ。 「現在、小児科の先生などと協議を重ねています。実現までには多くのハードルがありますが、できることから少しずつ動いていきたいと考えています」

 もちろん、センターの運営には医療機関や行政との連携も欠かせない。「当センターは難病の患者さんを早期に診断・治療する使命があります。地域の拠点として、国、県、医療機関、介護施設などと協力しながら、医療面だけでなく生活面でも患者さんを支えていきたいと思います」

島根大学医学部附属病院 難病総合治療センター
島根県出雲市塩冶町89ー1 ☎️0853ー23ー2111(代表)
https://www.med.shimane-u.ac.jp/hospital/nanbyou/

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