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画像診断を支援するAI活用の研究を推進

画像診断を支援するAI活用の研究を推進

熊本大学大学院 生命科学研究部 放射線診断学分野
講師(なかうら・たけし)

1997年熊本大学医学部卒業。JCHO天草中央総合病院放射線科、
天草地域医療センター放射線科部長などを経て、2015年から現職。
熊本大学大学院画像診断解析学寄附講座特任講師兼任。

 熊本大学放射線診断学分野は、IVR(画像下治療)で数多くの治療実績を持ち、画像診断においては、AI(人工知能)を利用した研究が盛んだ。AIの医療への応用は非常に早いスピードで進んでいるが、放射線診断学分野では、どのように活用されているのか。中浦猛講師に聞いた。

―医局の特徴は。

 医局と関連病院に派遣する医師を含め、約100人の医局員が在籍。画像診断とIVRを中心に、研究や診療を行っています。

 私の専門は画像診断ですが、臨床研究においては論文の引用数、掲載数が非常に多く、AIに関する研究も盛んに進めています。

―AI研究の現状は。

 画像診断の基本である読影をAIに置き換えることができるのでは、と期待されています。しかしながら、現状ではまだ、夢のような話と言えます。日常の画像診断に用いられるまでには至っていません。

 AIは、複雑な方程式のようなものです。AかBか判別するような作業が得意で、「解」がはっきりしているものでなければ応用できません。読影して所見を書くといった作業は、苦手なのです。

 現在は、画像診断の中でも難しい分野をピンポイントで学習させ応用しようと考えています。小さな肺がんの良悪性の判別や、脳転移と神経膠芽腫の鑑別など、補助的に活用する研究を進めています。

 MRIの撮影画像のノイズを除去する研究も進んでいます。MRI検査は、短時間で撮影しようとすると、画像のノイズが増加し、有用な情報が隠されてしまうことがあるため、検査時間が長くなります。そこで、AIに画像処理パターンを学習させ、画像診断の障害となるノイズを除去。きれいな画質に自動加工しようとするものです。

 ノイズを低減することで検査時間が短くなれば、MRI検査における患者さんの身体的負担を軽減することが可能です。これは、メーカーとの共同研究で、実用化が検討されています。

―AI研究の未来は。

 今でこそ、AIという言葉が広く使われるようになりましたが、放射線科の領域では、機械学習からディープラーニングへと呼び名を変えつつも、いわゆるAI技術を利用した研究が20〜30年前から行われてきました。現在の研究は、その延長線上にあります

 ただ、AIの発展のスピードが速く、今後どのようにAIが応用されるか不透明なところもあります。しかし、画像診断において、AIの利用が広がることは間違いないでしょう。

 これからの放射線科医に求められること。症例を含めた総合的な臨床的知識と画像診断に対する理解は、もちろん必要でしょう。そして、AIをもっと活用するためには、その知識も習得していく必要があると思います。

―今後の展望をお聞かせください。

 放射線の件数は、今後抑制される方向になっていくでしょう。これはコストを意識した医療が求められていることに起因しています。

 だからこそ、一枚の放射線画像から、多くの情報をいかに得ることができるかが重要になってきます。その道具として、やはりAIは活用できるのではないでしょうか。 また、熊本大学放射線診断学分野では、多層検出器CTの研究も進めています。多層検出器CTは、従来のCTと比較して、多くの情報を得ることができます。これによって、従来MRIでしか診断できなかったことがCTでも診断できるようになるでしょう。

 医療費の増大など、社会の動きを考えれば、コストを意識した医療は、今後重要な課題となります。AIを活用できるところは活用しつつ、画像診断を通して、地域医療に貢献していきたいと思っています。

熊本大学大学院 生命科学研究部 放射線診断学分野
熊本市中央区本庄1―1―1
☎096―344―2111(代表)
http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/radiology/

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