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男性の悩みに向き合い解決策をともに見いだす

男性の悩みに向き合い解決策をともに見いだす

関西医科大学 腎泌尿器外科学講座 松田 公志 教授(まつだ・ただし)
1978年京都大学医学部卒業。同附属病院泌尿器科、大阪赤十字病院、
京都大学医学部附属病院泌尿器科外来医長などを経て、1995年から現職。

 泌尿器外科における腹腔鏡手術に注力し、男性の不妊症、更年期障害も専門とする松田公志教授。開設当初はあまり知られていなかった男性更年期障害の専門外来も、今や多くのメディアに取り上げられ、患者が急増。今日も男性の悩みに応えている。

―腹腔鏡手術を早期に始めた泌尿器科の一つです。

 開始は1990年。まず精索静脈瘤(りゅう)の手術、翌1991年に腎摘除術、副腎摘除術を行いました。1990年代は「大きく切る」から「小さな傷で治す」への変革期。2000年には前立腺全摘術が始まり、適用はさらに広がりました。それに貢献する役割を教室が担い、非常に面白い時代を生きたと実感します。

 日本内視鏡外科学会の技術認定制度の発足や運営にも携わりました。泌尿器科の認定医は現在1709人。日本泌尿器内視鏡学会員4000人強のうちの38%、泌尿器科専門医の23%強です。最終的な試験として定着したと思います。

 その間、私たちの講座では、どうすれば技術を早く習得できるか、科学的に分析することを一つの研究テーマに取り組んできました。例えば、ダビンチ手術時の姿勢に関する研究では、熟練者と初心者を比較し、より効率的な動きを導き出しました。

 今は、より体感的にトレーニングできるシステムの開発に取り組んでいます。これは、腹腔鏡でもダビンチでも利用可能。ビデオに映し出された熟練者の手元の映像に、自分の手を重ねて動かしながらトレーニングするものです。2年後くらいの完成を目指しています。

―男性不妊症の取り組みは。

 体外受精のない時代には、患者さんの閉塞した精管同士や精管と精巣上体をつなぐ、精路再建手術を数多く手掛けてきました。開通率は精管閉塞で90数%、精巣上体閉塞で約85%。4割が自然妊娠に至りました。

 そのうち体外受精、顕微授精が始まり、精路再建手術はかなり減りました。しかし、負担の多い体外受精に比べてメリットは大きい。今でもいい治療法だと思います。

 大きな進歩は、精子の凍結保存でしょう。特にがん治療前のAYA世代が利用できるよう、もっと広めていけたらと思います。当院には、泌尿器科と産婦人科による「生殖医療センター」があり、精子や卵の凍結保存や体外受精を行っています。がんセンターと協力して、AYA世代の支えになれたらいいですね。

―男性更年期障害について。

 男性不妊症外来で検査すると、男性ホルモンが非常に低い人がいます。そうした方に対して健康回復のため男性ホルモンを注射するのですが、ある患者さんが「モノクロの世界が天然色になった。輝いて見える」と。驚きましたね。それが男性更年期障害の治療を始めるきっかけとなり、2002年に専門外来を開設。以来1000人強を診てきました。

 加齢により男性ホルモンの分泌が下がることでさまざまな症状が現れます。大きくは、①うつ的な症状、②筋力が弱る、汗をかく、眠れないといった体の症状、③勃起しにくい、性欲がないといった性機能の低下です。 三つの症状に当てはまる患者さんのうち、特に男性ホルモンが低い4割の方に注射。その5割強の患者さんに改善が見られました。男性ホルモンが有効でない場合には、うつ病など他の病気が考えられるので、その場合は心療内科などを勧めています。

 患者さんの多くは50~60歳で、加齢とストレスに悩まされる年代です。「注射で元気が出ている半年間のうちに、生活を見直しましょう」といったアドバイスをしています。

 一番大変な時期を乗り越えると、また元気になる人が多くいらっしゃいます。男性ホルモンの力で前向きな人生を過ごす。そのサポートを続けていきます。

関西医科大学 腎泌尿器外科学講座
大阪府枚方市新町2―5―1
☎072―804―0101(代表)
http://www7.kmu.ac.jp/urology/

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