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産婦人科医療の底上げに貢献

産婦人科医療の底上げに貢献


教授(なかしま・あきとし)

1999年富山医科薬科大学(現:富山大学)医学部卒業。
米ブラウン大学留学、富山大学医学部助教、同附属病院臨床准教授などを経て、
2020年から現職。

 婦人科腫瘍に向き合いながら、臨床にも力を注いできた。2020年2月に就任した中島彰俊教授は、地域の現状や課題に取り組みながら、富山県内の産婦人科医療の底上げに貢献したいと語る。

剣道仕込みの体力 研究と臨床に奮闘

「体力勝負」。富山医科薬科大学の医学部生時代のことだ。進路を決める際に自分の特性と向き合い、診療科を絞り込んだ。「正直に言って優秀な学生ではありませんでした」と笑い、「剣道に打ち込んでいて体力があると思っていたので、夜中に医者の力が必要になる産婦人科や、長時間の手術もある脳外科などが合っているのかなと思っていました」と振り返る。

 当時、産科婦人科教授に就任したばかりの現学長・齋藤滋氏の言葉に強い後押しを受けたと言う。「がんはほかの臓器に浸潤するのに、胎盤では一定のところで止まる。なぜなのだろう。その違いが分かれば、がんのことも分かるかもしれない」。産科婦人科への道を選び、今でも産科で胎盤の研究をする傍らで、婦人科の臨床にも力を注ぐ。

 分娩にも数多く立ち会ってきた。お産は時間を選ばず、「眠くても赤ちゃんの状態が急変すれば一気にアドレナリンを出さなければいけません。非常に責任が大きいと思います」。

 ただ、こうしたタフな要素を差し引いても、生命の誕生に立ち会う喜びは格別だと言う。「生命が誕生したときの『おめでとう』に携われるのはうれしいことです」と相好を崩す。

がんを克服し出産を妊孕性センター設立

 恩師の後任として、2020年2月教授に就任。6月には「妊孕(にんよう)性センター」を新設し、センター長を兼任している。

 「一昔前であれば、がんだから仕方ないよね…と、治療を優先し、結婚や妊娠、出産を諦める傾向が強くありました。しかし今は、がんが治る、あるいは共生することが可能になっています。がんを克服して家族を持ちたいという方を支えたいと思っています」

 センターは、富山大学附属病院の協力を得て、組織基盤を固めている最中。産婦人科の観点だけでは進められないため、診療科を広範に横断しながら運営する体制を整えているという。

 ただ、この取り組みは「残念ながら、他地域より遅れている」と中島教授。そのため生殖医療の専門医をはじめ、各診療科の英智を結集しながら急ピッチで整備を進める。

新型コロナ対応で妊婦の情報を共有

 「県内の産婦人科医療の底上げをしたい」という思いがある。医師確保の難しさや働き方改革とのすり合わせ、高齢化に人口減少、開業医の分娩取りやめ…。お産を取り巻く環境には、強い逆風が吹く。

 「若い医師に産婦人科の魅力を説いて入局してもらうことが第一」。人材育成のほか、最新技術の導入、研究レベルの引き上げなど、課題は山積している。

 他機関との連携はスムーズに進んでいる。象徴的だったのが、新型コロナウイルス感染症対策だ。各機関が34週以降の妊婦に、必要な情報が記載されている「連絡カード」を配布。通院している病院が閉鎖されても、他院にこのカードを示せば医療サービスを受けられるというものだ。

 富山県は、コンパクトで県内の移動も比較的容易なため実現できたモデルケースとも言える。北陸新幹線が開通し、関東圏から先進的な不妊医療を受けにくる患者も増えたという。「安全な分娩と安全な手術を皆さんに提供していくことがわれわれの使命」と中島教授。目の前の課題と相対し、エネルギッシュに打開を図っていく。

富山大学学術研究部医学系 産科婦人科学講座
富山市杉谷2630 ☎076-434-2281(代表)
http://www.med.u-toyama.ac.jp/sanfu/

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