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生体肝移植導入 沖縄で治療完結を

生体肝移植導入  沖縄で治療完結を

琉球大学大学院医学研究科 消化器・腫瘍外科学講座
高槻 光寿 教授(たかつき・みつひさ)

1994年長崎大学医学部卒業。
京都大学移植外科、台湾・高雄長庚紀念病院留学、
長崎大学大学院移植・消化器外科准教授などを経て、2019年から現職。

 琉球大学の消化器・腫瘍外科学講座の高槻光寿教授は、2019年の就任後すぐに生体肝移植の導入に着手し、8カ月後に1例目の手術を成功させた。肝移植以外にも新たな施策を次々と打ち出し、地域医療のレベルを向上させるために日々奮闘している。

―就任後生体肝移植を始めた経緯は。

 私が着任する前は、琉球大学病院には肝移植を行うことができる環境がなく、沖縄県全体としても県立病院で数例の実績しかありませんでした。患者さんは京都大学や東京女子医科大学、九州大学など県外の大学病院に紹介しており、その数は70人を超えていた。しかし、実際にはもっと多くの患者さんが移植を必要としていたはずです。

 19年7月、教授に就任してすぐに肝移植の準備を開始しました。外科だけでなく、消化器内科の先生も熱心にサポートしてくれて、他の診療科や看護師の協力もあったおかげで準備はスムーズに進みました。肝移植に対する期待の大きさを大学全体から感じましたね。

 そして20年3月、琉大病院として初の生体肝移植手術を行い、無事成功させました。その後も順調に手術数を増やすことができており、21年1月末時点では計9例になりました。幸い、いずれの患者さんも術後の経過は良く、元気に過ごしています。

―肝移植の今後をどのように考えていますか。

 近年、C型肝炎に有効な薬が開発されたほか、内科の先生の尽力もあって、全国的には肝移植まで至らない症例が増えました。ただ、県内にはまだ移植を必要とする患者さんが多いのも事実です。個人的には、しばらくは年間10~20例程度の手術を想定しています。

 手術に関する展望としては、脳死肝移植の施設認定を目指すことが目標です。生体肝移植は、どうしても健康なドナーに大きな手術をせざるを得ないという問題がある。この点を考慮すると、脳死肝移植が肝移植医療の本道だと考えています。まずは生体移植の実績をしっかりと積み重ねながら、準備を進めて行く予定です。

―肝移植以外の取り組みは。

 これから本格的に進めようとしているのは、肥満外科の分野。沖縄はここ数年で平均寿命の順位が下がっていて、その要因の一つとして肥満が挙げられます。高度肥満に伴う疾病リスクを回避するため、胃の一部を切除する「減量手術」の体制を整えました。肥満の患者さんは主に内科の先生が診ていますが、今後は外科や他の診療科が一緒になり、大学として総合的に診療したいと思っています。

 食道がんに対する胸腔鏡手術、各種消化器がんに対するロボット支援下手術の準備、乳腺外科でのゲノム医療など、さまざまな領域で高度先進的な医療を推進していることも特徴です。沖縄で唯一の大学病院として、地域の医療レベルの向上につながるような取り組みを続けたいですね。


―教室運営の目標は。

 まずは教室のマンパワーを充足させることが目標です。全国的に外科医は不足しており、沖縄も例外ではありません。最近は徐々に希望者が増加しているものの、今でも全体的に不足しています。人がいないと手術も難しくなり、研究も十分行えません。大学病院としての使命を果たすためにも、マンパワーの問題は早めに解決したいと思っています。

 琉球大学医学部と附属病院は24年に西普天間へ移転する予定で、このタイミングを意識しながら教室を運営しています。移転までに医局の人員を充足させ、かつ県内での肝移植を当たり前の状況にすることが大きな目標の一つ。膵(すい)移植も始めたいと考えています。その他の診療も含め、「沖縄で治療を完結させる」ことを念頭に置きながら、今後も精進します。

琉球大学大学院医学研究科 消化器・腫瘍外科学講座
沖縄県西原町上原207
☎098―895―3331(代表)
https://www.ryukyu-surg1.org/

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