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現場での対話が病院の未来を変えていく

現場での対話が病院の未来を変えていく

福山市民病院 
喜岡 幸央 院長(きおか・ゆきお)
1981年岡山大学医学部卒業。ブラジル・サンパウロ州立大学心臓研究所留学、
福山市市民病院(現:福山市民病院)副院長などを経て、2019年から現職。
岡山大学医学部医学科臨床教授を兼任。

 地域がん診療連携拠点病院として、さらには救命救急センターを持つ急性期医療を担う病院として発展してきた福山市民病院。同院で診療部長や副院長を務めてきた喜岡幸央氏が院長に就任した。新院長となった喜岡氏が語る、これまでの足跡と、今後の病院のあるべき姿とは。

医療に必要なのはコミュニケーション

  心臓血管外科を専門とする喜岡氏は、ブラジル留学後の1991年に、福山市民病院(旧:福山市市民病院)に赴任。以来、28年にわたって、同院を支えてきた。

「私が入職した当初、当院の病床数は300床、医師者も29人くらいの規模の病院でした。その後、2005年に救命救急センターの指定を受けたことを契機に規模が拡大。2013年には病床が506床となりました。これまで病院が発展する過程を見てきたとも言えます」

 そんな喜岡氏が一番大切にしていることは、「人と人とのコミュニケーション」だ。その考え方をつくるターニングポイントとなったのは、二つの出来事だった。

 一つ目は、完全大血管転位症の患者さんとの出会い。医師になってまだ3年目。医師同士、患者や家族との話し合いを通じて、医師としてのあるべき姿を学んだという。
 「治療法を並べて、『自分で選んでください』と言っても、医師の言い方一つで患者さんの決断は左右されます。その選択がどうあれ、結果が良ければ良かったと思い、悪ければ後悔するのが人間です。だからこそ、少しでも納得した選択ができるよう、しっかりとコミュニケーションをとることが不可欠だと思うようになりました」

 もう一つの出来事は、ブラジルへのレジデント留学。手術のプレゼンテーションが日課となる中、言葉の重要性に気づかされたと言う。

 「留学先では、人と話すことで初めて仕事を任せてもらえます。治療のガイドラインは決まっていますが、実際の治療をするのは人。人と人がつながっていないと、いい医療は実現できないのだと思っています」

働き方改革の鍵となるのも対話

  昨今、多くの病院が着手しようとしている働き方改革や業務改善についても、コミュニケーションこそが鍵を握ると喜岡氏は語る。

 「普段の業務の中で、誰かが代わりにできる仕事はないか。同じ業務を複数部署でやっていないか。そもそも本当に必要なのか。そのようなことを把握するためには、各現場との対話が重要です」

 業務改善委員会などを組織して検討することも確かに大事だろう。しかし、喜岡氏は、「日常的に『もっとこうすればいいのに』と思うことを、みんなで挙げていくこと。そこから課題を見つけていく努力こそが必要」だと語る。

 「例えば、診療情報管理士を病棟に置くことを検討するのであれば、まず現状の試算を出し、その価値があるかどうかを検討する。対話をもとに、そのようなPDCAを繰り返すことで、改革は進められるはずです」

患者さんのために病院を元気にする試み

 「若い時は、目の前にいる患者さんに何ができるかという視点で働いてきました。しかし、院長という立場になった今は、患者さんをしっかり診るために、まず病院を元気に、健全にしていくことにチャレンジしています」

 長く、この病院を知るからこそ、今後は患者さんのためにどう病院が変わるべきなのか、その課題に突き進む。

 「部下から信頼され、部下も信頼できる、信頼性と決断力のある次のリーダーの資質を持った人を育成していくことが、今後の大きな課題です。また、患者満足度の高い病院というのは、働く人の満足度が高い病院でもあります。そういう意味で働いてみたい病院、働き続けたい病院と思える病院をつくるべく、風土を形成していきたいと思っています」

福山市民病院
広島県福山市蔵王町5―23―1 ☎️084―941―5151(代表)
https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyama-hospital/

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