九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

現地の医療者を育てるアウトバウンドの医療を

現地の医療者を育てるアウトバウンドの医療を

医療法人社団 KNI 北原 茂実 理事長 (きたはら・しげみ)
1979年東京大学医学部卒業。
1995年北原脳神経外科病院(現:北原国際病院)開設などを経て、1996年から現職。

 「医療は、よりよく生き、死ぬためのすべてを包含した総合生活産業である」―。こう語るのは医療法人社団KNIの北原茂実理事長。2016年に、カンボジアに「サンライズジャパンホスピタル」を開設。医療の海外進出にどこよりも先駆けて取り組んできた、同法人グループの国際展開の動向、今後の展望について話を聞く。

―医療の国際展開について。

 私たちが2016年にカンボジアに開設した救命救急センターを有する「サンライズジャパンホスピタル」。当初は日本人の医療スタッフが中心でしたが、今では150人のカンボジア人スタッフが中心となって診療にあたっています。運営は軌道に乗り、黒字化も実現しました。

 日本の医療をそのまま海外に持っていくのでは通用しません。医療とはよりよく生き、よりよく死ぬためにある。それを現地で継続して提供できるシステムを構築する必要があります。医療輸出にはいくつかの形がありますが、われわれが行っているアウトバウンド型医療輸出でないとこれは実現できません。

 病気になって海外で治療を受けることが幸せでしょうか。そうは思いません。私たちは医療は地産地消であるべきだと考えています。カンボジアの医療者を育て、病気になった時に安心して自国の医療サービスが受けられる。アウトバウンド型の医療輸出ならそんな社会を実現することが可能です。

 また、医療に対する公的補助が少ないカンボジアにおいて地産地消の医療を確立するためには、病院の運営をビジネスとして成り立たせる必要があります。そこで収益を得ることができれば、それを使うことで過去に起きた内戦の影響で失われた適切な医療教育を取り戻すことにも貢献できます。

―医療の未来とは。

 われわれは、国民皆保険制度のもと提供されている現状の医療は、少子高齢化に伴う財源と人材の枯渇により継続が難しいと考えています。そこで、皆保険が破綻した後も継続可能な医療を実現するために企業や大学と東京都八王子市でさまざまな開発を行っています。

 自然や動物、人同士のふれあいにより免疫力を高める環境や、AIやICTを使い医療の効率化と質向上を同時に実現するシステムの開発を進めながら、八王子周辺に住む市民に対して生活全般を支える会員制サービス「北原トータルライフサポート倶楽部」の開発・提供を始めています。

 同倶楽部内の「デジタルリビングウィル」は、体質や既往歴・服薬状況といった基本医療情報、医療行為に対する希望・承諾や受けたい生活サポートサービス、さらには自分の生き方・死に方・財産の使い方などすべてにわたる自分の〝意思〟をあらかじめ登録しておくシステムです。

 登録された情報は生体認証をセキュリティーに使用し必要な時に共有することができます。独居者が意識を失い救急搬送された場合、医療機関が個人を特定し、必要な情報を引き出すことができれば直ちに適切で本人の意思に沿った治療を提供することができるのです。

 トータルライフサポート倶楽部では、デジタルリビングウィルに登録された情報をもとに高齢者の生活全般や、退院後の生活を支えるサービスも提供します。これらすべてのシステムが完成し、医療が産業として自立した時に実現する「人々がよりよく生きてよりよく死ねる、継続可能な医療と社会」こそ、私たちが目指す医療の未来なのです。

医療法人社団 KNI
東京都八王子市大和田町1―7―23
☎042―645―1356(北原国際病院内)
https://kokusai.kitaharahosp.com/

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