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熊本大学病院 消化器癌先端治療開発学 寄附講座 地域連携の強化 人間性を高める教育を

熊本大学病院 消化器癌先端治療開発学 寄附講座 地域連携の強化 人間性を高める教育を

特任教授(よしだ・なおや)
1994年熊本大学医学部卒業。
国立病院機構熊本医療センター、熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学講師、
同大学病院消化器癌先端治療開発学寄附講座特任准教授などを経て、2020年から現職。

 消化器がんに対する高度な集学的治療の実践と難治性消化器がんに対する新規治療法開発を目指し、2017年10月に開設された。3年が経過し、どのような成果を挙げ、地域の中でどのような役割を果たしてきたのか。吉田直矢特任教授に話を聞いた。

─概要を教えてください。

 私が臨床を担当し、もう1人の石本崇胤・特任准教授が研究を担っています。研究では、進行の早い難治がんに対する新しい治療法開発に向けて、がん発生の機序などを生物学的に詳しく調べています。臨床では、専門性が高く高度な医療技術を要する食道がん、肝胆膵のがんの領域で、治療成績を向上させる取り組みを行っています。

 私が専門としている食道がんの領域では、2005年から熊本大学で行ってきた臨床に関するデータベースを集積しています。それを基に2017年10月から101本の英文論文を発表しました。それを臨床に反映させ、手術の成績を向上させています。

─地域連携について。

 地域連携にはかなり力を入れており、特に以下の三つの課題に取り組んでいます。一つ目は消化器がんの安全な手術に向けた地域との連携。複数の関連病院と連携し、高度肥満症例に対する術前ダイエットや、低栄養患者の術前栄養サポート、術前リハビリテーションの強化に取り組み、良好な治療成績を得ています。

 特に高齢の患者さんの場合、手術後も連携している病院で嚥下(えんげ)訓練や栄養の強化、筋力増強を行い、退院後の自宅での誤嚥(ごえん)、転倒の予防などに努めています。

 二つ目は人材供給です。地域における外科医確保は全国的な課題です。消化器外科教室と協力して若手医師のローテーションを行い、医師不足に陥りがちな地域の医療を支えています。

 三つ目は消化器がん診療の学術サポート。多くの消化器がんで手術手技、周術期管理、手術前後の補助療法、進行再発症例に対する集学的治療が急速に進歩しています。最新の治療を提供し、学術的な活動でも熊本県内の消化器がん診療を支える必要があります。

 食道領域では、9月にウェブを用いた九州食道疾患症例検討会を開催。食道がん免疫療法に関するウェブ講演も10、12月に行います。新型コロナウイルスの影響でウェブによるネットワーク構築が進み、本講座が熊本県内にとどまらず、九州をけん引する立場になればと願っています。

─講座のあり方や後進の育成について。

 消化器がんの治療において、手術は重要な要素です。しかし、手技向上だけを目指していては、患者さんにとって良い医師とは言えないと思います。

 大切にしたいのは、患者さんと接する際に「患者さんの目線の高さで」「話の腰を折らずに聞く」「敬語を使う」といった医療の根源の部分。実はここが、最もおろそかにされやすいと感じています。患者さんとのコミュニケーション能力こそ、若い医師を育成する上で最も重要ではないでしょうか。

 かつては大学卒業後に入る医局が、人間性を高める教育の場でした。今はその体制が変わり、マッチングで大学の医局以外に入るケースが多くなり、この人間性を高める教育の機会が減っていると感じます。

 私たちは大学の講座として、外科医に必要とされる技術、人間性をバランスよく指導していく役目があると考えています。大学病院は断ったらもう行く場所がない最後の砦(とりで)です。

 「絶対に諦めない」「最後までベストを尽くす」ことが求められ、若い医師にとって最適な勉強の場であり、患者さんの信頼を勝ち得る仕事ができる場所だと思います。常に努力して、人間性を磨き、難治がんの克服に向けて臨床・研究に取り組む姿勢を、今後も大切にしていきます。


熊本市中央区本荘1─1─1 ☎️096─344─2111(代表)
http://kumamoto-gesurg.com/donation/

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