九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

熊本地震を乗り越えて地域に愛される病院を

熊本地震を乗り越えて地域に愛される病院を

社会医療法人潤心会
熊本県菊池郡菊陽町原水2921 ☎096ー340ー5001(代表)
https://kchosp.or.jp/

 2016年4月に発生した熊本地震で被災した熊本セントラル病院が移転新築し、2020年10月から新病院での診療を開始した。井上雅文院長に特徴や狙いなどを聞いた。

◎個室率アップ手術室も拡充

窓から阿蘇山を望む「特別個室」

 もともとの場所から300㍍ほど離れた場所に移転した新病院は、急性期病棟2棟(96床)、地域包括ケア病棟3棟(150床)の計246床。旧病院は7階建てだったが、地震で上層階になるほど被害が大きかったことから、延べ床面積(約1万5千平方㍍)はほぼ同じまま、5階建てにした。

 1、2階に分散していた外来診察室は、複数科を受診する高齢患者が多いこと、動線を考え、1階に集約。患者のせき込みや口の渇きを軽減する狙いで、院内の湿度は常時40%で維持できるよう空調も変えた。

 病棟は、個室率を10%から30%に上げた。もともとはインフルエンザを想定した変更だったが、結果的には新型コロナウイルス感染症の対策にもつながった。プライバシーを重視する患者の傾向にもマッチしており、井上院長は「個室の利用率は予想以上に高い」と話す。

 手術室は、機器の大型化に対応するため1室当たりの面積を1.5倍ほどに拡張。さらに、従来の3室から4室へと増やした。

 「旧病院時代の手術数は年間約1400件で、3室ではほぼ限界。熊本市内で手術を受けていただく患者さんもいました。しかし、この地域は高齢者だけの世帯も多く、通院や入院中のお見舞いなどを考えると、可能な限りこの地域内で医療を完結させたい。そこで、増室を決めました」

 常勤の麻酔科医を3人配置し、消化器外科医、整形外科医など外科系医師も補充した。ハードとソフトの両面を整え、年間2000件ほどの手術実施を見込んでいる。

◎眺望を生かした設計 随所に「癒やし」の配慮

 院内には、さまざまな「癒やし」の要素も盛り込んだ。病院東側に阿蘇の外輪山を望む絶好のロケーションをフル活用。約70%の病室から阿蘇の眺望を楽しむことができる設計とした。

 手術室の内装も独特だ。室内は、それぞれ木目調、薄オレンジ色、薄緑色、ラベンダー色。木目調の手術室は局所麻酔での手術に使用しており、「患者さんの緊張を緩和したいと思い切りました。リビングにいるような感覚を持っていただけたらと願っています」。手術室には窓も設けている。

 職員専用のゾーンにもさまざまな配慮が施された。約480人の職員のうち80%を占める女性の快適性向上を狙って、更衣室にシャワー室とパウダースペースを設置。リクライニングチェアも置いた。

◎震災で計画を前倒し苦難を乗り越えて

「人材育成、在宅医療にも力を入れたい」と語る井上雅文院長

 1987年開院の旧病院は、老朽化が進んでおり、2016年以前から新築計画が浮上していた。ただ、当時はまだ、国内に東日本大震災の影響が色濃く残っていた時期。東京五輪も控え、建設ラッシュが続いていたため、五輪後の病院建設を予定し、検討を重ねている段階だった。

 ところが、震災によって壁にひびが入り、院内各所で雨漏りも発生。計画の前倒しを余儀なくされた。

 材料費の高騰、建設会社・設計事務所探しにも苦慮。「それでも、良い設計事務所、建設会社に巡り合うことができ、目標としていた10月開院に間に合わせることができました」

 新病院は院長室や会議室など、さまざまな場所が〝ガラス張り〟。「なるべくオープンにし、院内の交流を深め、関係を構築したい」と院長自ら提案した。

 「菊陽地域は、全国でも珍しい人口増加地域。25年後も、ここで医療を提供できるようにと、この新病院を建てました。今後、さらに職員みんなで頑張り、より地域に愛される病院になっていくことが、未来につながっていくと思っています」

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