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災害医療は「大きな救急」 対策室を起点にDMAT派遣

災害医療は「大きな救急」 対策室を起点にDMAT派遣


理事長(やまいえ・ひとし)

1987年鳥取大学医学部卒業。同医学部放射線医学教室入局。松江赤十字病院、
1988年医療法人社団小波瀬病院(現:社会医療法人陽明会小波瀬病院)入職、
同院長を経て、2017年から現職。
日本救急医学会救急科専門医、JATECインストラクター、日本DMAT隊員、福岡県DMAT隊員。

 京築地域の基幹病院である小波瀬病院は、近年災害医療にも注力。2016年には、災害医療対策室を設立し、医師やメディカルスタッフによるDMAT(災害医療派遣チーム)を3チーム組織している。山家仁理事長と馬渡博志災害医療対策室長に、現在の取り組みと今後の展望について聞いた。

─対策室設立の経緯は。

山家仁理事長(以下、山家) まず2006年、経営陣に、救急医療をメインにしたい意向を了承いただき、院長を引き受けました。災害医療にも携わりたいという思いがあり、2011年に新病院を建設したのを機に、翌年には京築の災害拠点病院の指定を受け、DMATを組織しました。

 災害医療対策室は、2016年に室長の馬渡が入職し、設立。馬渡はロジスティクス(業務調整員)の立場で日本の災害医療に携わり、けん引してきた一人です。馬渡がいることで災害医療に関心のあるドクターやスタッフが集まり、救急の医師は2人から5人まで増えました。救急医療が行き詰まる地域もある中で、大きな数字だと考えています。

─災害医療対策室の役割・取り組みについて。

馬渡博志 災害医療対策室長

馬渡博志災害医療対策室長(以下、馬渡) 災害医療対策室には事務職員2人と救急救命士6人が在籍し、救急医療・災害医療に携わっています。私自身は九州・沖縄ブロック災害医療ロジスティクス検討委員会委員長、認定災害医療上級ロジスティクス専門家として、院内・院外で教育や訓練に携わっています。

 熊本地震や九州北部豪雨災害、西日本豪雨災害などの災害時は、院内に災害対策本部を立ち上げて、情報収集や連絡、各種調整などを行いました。実災害対応業務としては、車両や機材の手配、避難所や自治体との連絡、医療ニーズの把握など多岐にわたります。

山家 必要な情報は院内災害対策本部に入り、医師が行くべきか、ロジスティクスのお手伝いだけで良いかなど、迅速に対応できます。熊本地震後には、日本で4台目となるDMATカーを導入。東日本大震災対応を経験した馬渡の意見を取り入れています。

 災害医療は、いわば大きな救急医療です。災害医療に関わっている方々は自分たちの地域を守るという意識が強く、何かあれば「お互いさま」の精神で駆け付けます。当院が災害医療に関わることで、地域の方から「私の故郷に来てくれてありがとう」と感謝されることもありました。同時に、地域の防災意識も高まっていると感じます。

─今後は。

山家 災害拠点病院として、優秀なロジスティクスを養成したいと考えています。災害医療現場は過酷です。ロジスティクスの拠点病院を目指したいですね。

馬渡 これから活躍できる人たちを、院内はもちろん、外部にも増やしたいですね。実働できるDMATを増やすために、各地の病院や企業、自治体と顔の見える関係をつくって、お互いに協力したいと思います。

山家 北九州市立八幡病院の伊藤重彦院長は、病院に所属する救急救命士が病院所有の救急車に乗り、患者搬送などに関わる研究を厚労省としています。当院の医師も関わっており、全国の先駆けとなるモデルケースとすべく、院内教育をしています。この研究がうまくいけば、病院救命士が消防所属の救命士と並んで力を発揮できるようになります。病院救命士のあり方が変われば、災害医療に関わる人数も大きく変わる。私はその手伝いをできればと思っています。

 すべては被災者のために、すべては患者さんのために。

社会医療法人陽明会 小波瀬病院
福岡県京都郡苅田町新津1598
☎0930─24─5211(代表)
http://www.youmeikai.jp/

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