九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

災害や感染症に強く 地域に親しまれる病院に

災害や感染症に強く 地域に親しまれる病院に

日本医科大学武蔵小杉病院
川崎市中原区小杉町1ー383 ☎044ー733ー5181(代表)
https://www.nms.ac.jp/kosugi-h/

 武蔵小杉がある川崎市中原区は、東京のベッドタウンとして人口増加が著しく、若いファミリー層に人気だ。その中で、2021年9月に待望の新病院が開業した。日本医科大学武蔵小杉病院が果たす役割とは何か、谷合信彦院長に聞いた。


◎新築移転を機に新しい街づくり

 この新築移転計画は、医療と福祉を核とした街づくりを進める川崎市の再開発計画の一部。新病院の移転先はもともと日本医科大学グラウンドで、ここには看護学校も建設予定になっている。隣接する日本医科大学新丸子キャンパス跡は、小学校と公園がすでに完成し、旧病院跡はタワーマンションや福祉センターなどが建設予定となっている。

 「旧病院が築45年ほど、耐震性にも問題があり、新築移転計画が7年ほど前から進んでいました。この病院の移転を中心に、医療、教育、商業、住居が集まった新しい街が生まれます」

 新病院は、病床数こそ372床と以前と変わらないが、川崎市の要望として救命救急、周産期、小児医療を強化することが求められている。

 新病院では新生児集中治療室(NICU)を6床から20床に増やす。「子育て世代が安心して暮らせる街にする狙いがあります。全国的には小児科や産科は採算性が悪いと言われ、どこも縮小傾向にありますが、地域からの要望を受け、われわれの使命として新病院では周産期や小児を、さらに充実させていきます」


目指したのは「病院らしくない病院」

 新病院のコンセプトは、「病院らしくない病院」だ。その象徴となるのが、病棟各階に設けたラウンジ。カーテンのない大きな窓からは、多摩川やサッカーグラウンド、タワーマンションの街並み、さらには富士山までも一望できるという。

 「ホテルのラウンジをイメージしました。ご家族が看病に来た時に暗い気持ちにならない、あるいは明日が手術、これから抗がん剤治療を始めるという患者さんが少しでも明るい気持ちになれる場所をつくりたいと思いました」。患者やその家族にとって心地よい空間をつくることで、出産の時に、祖父母の入院の時にこの病院にお願いしたいと思えるような病院でありたいと願う。

 手術室や病棟は、広いスペースを確保している。手術室は5室から7室に。フロアにコードがない天つり式で、すぐ横のICUは長さ50㍍もあり、6床から10床になった。外来の透析室や化学療法室もベッド数を増やし、木目調のインテリアでリラックスして治療が受けられるようにした。

来るべき災害や感染症にも対応

 病院のすぐ横に多摩川が流れ、また大震災も予想される地域のため、災害を想定した造りになっている。2019年に多摩川が氾濫したことを受け、基礎を1㍍かさ上げし、水没しない設計にした。「待合室や外来、医局などにはソファベッドを設置しました。通常はソファとして使用し、災害が起きた際にはベッドとして活用する予定です」

 谷合院長が就任したのが2020年4月。ちょうど新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい始めた時期だ。感染症の対策をするため、陰圧室を設けるなどの設計変更をすぐに指示したという。「これまで換気の問題でコロナ患者の受け入れができなかったのですが、新病院では陰圧室を救命救急センター、一般病棟、ICUなどに設置しました。感染した妊婦さんも受け入れられるよう、絶対に断らない体制を構築します」

 移転の際、旧病院で住民に愛されてきた桜並木はなくなってしまったが、新しく小道を整備し、そこに桜の木を植えた。「また地域の皆さんがこの病院の周りで、お花見ができるようになってほしい。そして、新しい病院を見て、お隣の小学校の子どもたちが将来この病院で医師になりたいと思ってくれたらうれしいですね」



 

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