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災害に備えた施設で最善の医療を提供する

災害に備えた施設で最善の医療を提供する

独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター
仙台市宮城野区宮城野2―11―12 ☎022―293―1111(代表)
https://nsmc.hosp.go.jp/

 全国に141の病院がある独立行政法人国立病院機構は宮城県内に三つの病院を擁する。そのうちの一つ、仙台医療センターは、県が宮城野原運動公園一帯で整備を進めている広域災害拠点の基幹施設として5月1日に移転開院した。

◎災害に強い病院として5月、診療をスタート

 新病院は地上11階建てで延べ床面積は6万2661平方㍍。病床数は660床で、1日の外来患者数は約900人を見込んでいる。

 新病院の主なコンセプトは五つ。「救急医療体制の強化」と「地域への貢献」、「患者さんにやさしく働きやすい病院」、「高度医療に対応した最新のシステムの導入」、「災害に強い病院」だ。

 建て替えの話が持ち上がったのは10年ほど前だ。建物の老朽化などが問題で、当初は高層の建物を建築しようという構想が進んでいた。

 そんな矢先、2011年3月11日、東日本大震災が起こった。

 地震当日、仙台医療センターがある宮城野区は震度6強の揺れが観測され、同センターも被災。飲料水や診療用水が確保できず機能不全に陥った。

 原因の一つは旧病院の屋上に設置されていた貯水タンクの破損だ。揺れのためにタンク内の水が大きく波打ち、それが大きなエネルギーとなってタンクを破壊。水を貯めておくことができなくなった。

 「入院されていた患者さんの半数の方に退院や転院をお願いしたことが一番つらかった」と橋本省院長は振り返る。

◎東日本大震災から得た教訓を生かして

 2013年、村井嘉浩宮城県知事は宮城野原運動公園一帯で「広域防災拠点構想」を打ち出した。その基幹施設となったのが県内唯一の基幹災害拠点病院である仙台医療センターだ。旧病院が整備区域に隣接していたことも基幹施設に選ばれた理由の一つだ。

 「当院は県内の司令塔にならなければいけない病院。万が一のときでも病院機能を継続できるように考えた」という橋本院長。

左:地下8㍍まで掘削して設置した免震装置 右:橋本省院長

 災害への備えが急がれていたことから、まず2016年8月、敷地内の駐車場の一部にヘリポートを新設。念願だったドクターヘリの運航を開始。現在は新病院の屋上に設置したヘリポートを中心に運用しているが、有事の際には2カ所の活用が可能だ。

 新病院には免震構造を施した。揺れを緩和する24本のダンパーを設置するため地下8㍍まで掘削した。また、大型地震の際の建物への影響を防ぐためのエキスパンションという最新の免震システムを取り入れたと言う。

 1階正面玄関に設置された大型のひさしはひときわ目を引く。災害時にはエントランスはトリアージスペースとなる。「トリアージの最中に患者さんがこのエリアで風雨にさらされたり、暑さや寒さを感じたりしないように配慮したかった」と橋本院長。

 震災で痛感したのは「重油や食料などの備蓄の重要性」(橋本院長)だ。特に職員の食料が不足したのだ。厚労省もこのほど災害拠点病院の指定要件に新たな方針として備蓄強化を打ち出した。

◎最善の医療を届けるためにできること

 従来から手術支援ロボットやリニアックを導入するなど最新の医療に取り組んできた同院。

 新病院ではそれを支える職員の環境づくりにも力を入れた。保育園を敷地内に設けたのもその一環だ。女性専用の当直室などがある女性エリアも新たに設置。出産や子育てによる退職をできるだけなくしたいと考えているという。

 職場環境の充実は、最善の医療を提供するために不可欠だと語る橋本院長。「離職者が出ないようにする取り組み、働きやすい環境の整備が、男女問わず働きやすい職場づくりにつながる」と話している。

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