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災害にも強い病院へ 地域完結型を目指す

災害にも強い病院へ 地域完結型を目指す

独立行政法人 地域医療機能推進機構 南海医療センター
大分県佐伯市常盤西町11―20 ☎0972ー22ー0547(代表)
https://nankai.jcho.go.jp/

 大分県・佐伯市において中核病院としての役割を担う南海医療センター。1947年に健康保険南海病院として開院し、2014年に独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)に移行。地域医療を展開している。2020年1月には、災害に対応できる新病院が完成する予定だ。

◎機能はそのままに 待望の新病院へ

 新病院は、道を挟んですぐ隣の病院所有地で、建設が進んでいる。現在は、基礎となる免震装置の敷設工事が終わり、地上部分の建設が着々と進行中だ。延べ床面積はこれまでとほぼ同様の1万7578平方㍍。地上9階建てで、屋上にはヘリポートが設置される予定だ。

 医療機器などの設備そのものは、現在あるものをすべて移動させる。中核を担う病院としての役割を果たすため、今の病院の機能すべてが、そのまま新病院でも引き継がれる。

◎災害拠点病院として

 南海医療センターは、大分県南部地域の災害拠点病院に指定されている。佐伯市は海沿いにあるだけでなく、海抜も低いため、南海トラフ巨大地震が起きれば津波が来る可能性が高いと予想されている。しっかりとした災害対策が必要だ。

 屋上に設置されるヘリポートは、新病院の大きな特徴の一つ。重症患者の救急搬送のみならず、災害対策の一環としても重要となるため、自衛隊や消防防災ヘリであっても着陸可能な強度で設計されている。

 「これまで近隣にあるヘリポートは、海岸や校庭、公園といった場所でした。そのため海抜の低い佐伯市では、『災害時にはまっさきに使用できなくなるのではないか』との懸念がありました。地域住民にとって、これは朗報になると思います」と、森本章生病院長は語る。

 また、新病院の建物は災害時に備え、重要な機能を保持できるよう工夫されている。津波の高さを想定して、1階から2階までの高さは約9㍍。1階部分は、受け付け、検診センター、厨房などを設置し、主要な機能は2階以上に配置される。電力の供給が途絶えることがないよう、電気系統の設備は9階部分に設置する。津波の被害をできるだけ免れるためだ。

左:内閣府主催の大規模災害訓練時の様子(2018年8月)
右:森本章生病院長

 DMAT(災害派遣医療チーム)による備えも進めている。災害発生時には森本病院長が災害対策委員長となる。災害時に、どのように行政や保健所、消防署などと連絡を取り合うか。どのように対策本部を立ち上げるか。どういった役割分担をし、どう行動するかなど、具体的で細かな点について検討し、訓練している。実際、訓練では、想定内とはいえ、さまざまな改善点も見つかったと言う。

 災害対策委員長としては、「やってみて初めて分かることもあります。これを教訓に次に生かそうと、みんなで話し合っています」

◎地域医療の今後に向けて

 現在、心臓カテーテル検査、冠動脈インターベンション、腹部内視鏡を用いた救急治療、がん、透析治療に力を入れている南海医療センター。市内の他の病院では対応が難しいケースもある。新病院においても、地域の中核を担う病院として、できるだけ多くの診療科をカバーし、維持したいとの考えだ。

 最近の懸念材料は脳血管疾患に対応できる医師の不足だ。大分市までは救急車でも約1時間。市内の他の病院とも連携をとってはいるものの、緊急時の受け入れ体制は万全とは言えない。

 「若い医師には、一人の患者さんを最初から最後まで診るという、地域医療のやりがいを知ってほしいと思います。先端医療を取り入れつつ、地域完結型の医療を展開する。これが私の使命です」と語る森本病院長。新病院の完成に向け、これからも、より良い医療現場の構築に取り組む。

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