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滋賀医科大学 脳神経外科学講座 高度専門医療を提供 滋賀県の脳卒中対策にも貢献

滋賀医科大学 脳神経外科学講座 高度専門医療を提供  滋賀県の脳卒中対策にも貢献

野﨑 和彦 教授(のざき・かずひこ)
1983年京都大学医学部卒業。米マサチューセッツ総合病院脳神経外科、
京都大学医学部附属病院脳神経外科准教授などを経て、2008年から現職。

 専門スタッフによる高度かつ専門的な医療を提供し、新たな治療法につながる研究に取り組む滋賀医科大学脳神経外科学講座。野﨑和彦教授に、滋賀県の地域医療に貢献する活動や講座の運営について聞いた。

─臨床や教育の特徴は。

 脳卒中などの脳血管障害、脳腫瘍などに対し、高度かつ専門的な医療を、より安全に提供するのが私たちの役割です。脳血管障害というと従来は開頭手術でしたが、現在では脳血管内治療をしないという選択肢はありません。さらに、顕微鏡手術、内視鏡手術の三つのモダリティを駆使した、より低侵襲な手術に取り組んでいます。

 悪性脳腫瘍に対しては覚醒下手術を実施しています。特殊な麻酔方法を用いて、手術の途中で患者さんに覚醒してもらい、会話をしながら手術を進めます。術中に脳神経などをモニタリングすることで、術後の後遺症を残さないようにすることを目的にしています。

 人材育成では、医学生や研修医に手術手技を教えるために、これまでの「見て学ぶ」から、模擬モデルを用いたハンズオンセミナーなどを通して体感できるようにしています。また、専門医や技術認定医の取得も重要です。「この分野なら誰にも負けない」と、それぞれが専門性を高められる環境を、今後も整えていきたいと思います。

─講座運営について。

 「明るく、前向きに、外向きに」をモットーに掲げています。脳神経外科には重篤な患者さんが多く、病棟に行くと気持ちが沈んでしまうことも少なくありません。しかし、医師が明るく前向きでなければ、患者さんの回復は見込めません。また、「前向き」には、新しい目を持って、新しい治療方法を開発していくという意味も込めています。

 ただし、診療にあまり時間をとられてしまうと、研究や論文、学会での発表などが難しくなります。そこで、講座としての治療方針を一定にするために、カンファレンス主導で治療に当たっています。外来の患者さんに対して週2回、また術前、術後カンファレンスの四つを重視して、方針を決めています。これにより治療成績の向上、専門分野からの情報共有がスムーズになりました。

 私も研究を少しずつ進めています。テーマは脳動脈瘤(りゅう)の動物モデル作成。脳動脈瘤の治療は、今のところ外科治療が主流ですが、非外科的治療の開発を目指しています。

 医師は常に「なぜ」という疑問を持つことが大切です。医療の世界の当たり前に疑問を持つことで、新たな治療法や手術手技が生まれます。あらゆることを「当たり前」と片付けない、そんな講座であり続けたいと思います。

―脳卒中対策について。

 2019年12月に「脳卒中・循環器病対策基本法」が施行され、それに基づき都道府県循環器病対策推進計画を策定する流れになっています。

 この法案は10年以上前から「脳卒中対策基本法」として審議されてきたのですが、なかなか成立に至ってきませんでした。しかし、施行後の基本計画の策定には、データ収集は不可欠です。病院単位でのデータはあるのですが、県全体の脳卒中の現状を評価・分析するため、本学の公衆衛生学講座の特定地域での循環器疾患の登録事業をさらに広げる形で取り組みを始めています。

 2013年には滋賀県脳卒中診療連携体の一環として、「滋賀脳卒中データセンター」を学内に設置。全医療機関を対象に脳卒中発症事例を登録し、発症件数、死亡率、再発率などのデータを評価・分析。そのデータは「滋賀脳卒中ネット」で公開もしています。

 現在はコロナ禍で作業が中断していますが、このデータによって、脳卒中の予防、医療体制の整備につながっていくことを期待しています。

滋賀医科大学 脳神経外科学講座
大津市瀬田月輪町 ☎️077─548─2111(代表)
https://shiga-neurosurgery.com/

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