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滋賀医科大学 内科学講座 循環器内科 若手を育成し、地域医療を守る

滋賀医科大学 内科学講座 循環器内科 若手を育成し、地域医療を守る

中川 義久教授(なかがわ・よしひさ
1986年京都大学医学部卒業。
小倉記念病院、京都大学医学部附属病院、天理よろづ相談所病院循環器内科部長、
同副院長などを経て、2018年から現職。

 滋賀医科大学循環器内科は、高度医療の提供や先進的な研究を進めながら、地域に貢献する人材育成にも力を入れている。その先頭に立つ中川義久教授は、循環器内科医の労働環境、ワークライフバランスにも視線を向け、より良い地域医療の姿を見据えている。

―診療や研究の特徴は。

 診療面では、地域の基幹病院かつ「最後の砦(とりで)」として、高いレベルの医療を提供しています。

 具体的には虚血性心疾患、不整脈、心不全、弁膜症、閉塞性動脈硬化症などに対するカテーテル手術、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)、ペースメーカー(PM)植込み術などのデバイス治療が特徴です。また、救急医療にも注力しており、他の診療科と連携しながら患者さんを積極的に受け入れています。

 研究面の特徴は、まず前任の堀江稔特任教授の時代から続く遺伝性不整脈の解析・研究です。症例は全国から集まっており、患者さんのデータベースは相当な規模となっています。当医局の大きな強みとして、今後も多くの症例を集積していきたいと考えています。

 また、現在は抗血栓薬の適切な使用法の臨床研究および情報発信なども行っているほか、今後は抗がん剤の副作用による心不全の研究にも取り組む予定です。地域の基幹病院における循環器内科は、その専門領域だけでなく、がん治療をサポートする役割も求められています。そのためにも、しっかりとした体制を整えたいですね。

―医師不足解決の方策について教えてください。

 現在、循環器内科を目指す医師は決して多くありません。アメリカでは希望者が殺到し、黙っていても優秀な人材が集まるような状況ですが、日本は違います。その大きな要因となっているのが労働環境。やりがいはあるものの、ワークライフバランスが良くないと感じるようです。

 この問題を解決するには、労働環境の改善に加えて、地域における医療施設の集約化も一つの焦点になるでしょう。もちろん簡単ではありませんが、できるだけ皆が納得する形で集約化が図れるよう、その音頭を取りたいと考えています。

 医局内での教育は、各自がレベルに応じて明確な目標を立て、それを達成できるよう支援しています。また、大学系列などの枠を越えた医師の派遣を積極的に行っており、さまざまな場所で研鑚(けんさん)を積むことを奨励。現場で必要とされる人間関係を構築し、大きな経験を積んで、最終的には滋賀県の医療向上のために還元してもらえたらと願っています。

―今後の展望は。

 何より医局員の確保が不可欠です。これまでは人数が少なく、労働環境が整っていないため、入局したい人がさらに減るという悪循環に陥っていました。

 この状況を変える第一歩として、初期研修後に入局する人材を増やしたい。医局の人員が増えれば、それぞれの仕事量にも余裕ができて、各自のワークライフバランスも良くなります。このような好循環ができるよう、さまざまなアプローチを試しながら、循環器内科を目指す若い医師を増やしたいと思っています。

 地域全体の展望としては、やはり医療施設の集約化が望まれます。現在、比較的近い場所に位置している中小規模の病院は経営的に疲弊しており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によってその問題がさらに顕在化しました。これらの病院にとって厳しい状況はしばらく続くと予想され、それに伴い集約化の議論は加速するでしょう。

 今後の少子高齢社会や医師の労働環境の変化などに対応し、地域医療を適切なバランスで維持するためにも、集約化は必要な変革だと思います。新型コロナという逆境を原動力に変えて、地域全体が前向きな方向に進んでいくことを期待しています。


大津市瀬田月輪町 ☎️077―548―2111(代表)
http://www.shiga-med.ac.jp/~hqmed1/

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