九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

泉区の地域医療に貢献 地域密着型のがん医療を

泉区の地域医療に貢献 地域密着型のがん医療を

社会福祉法人親善福祉協会  国際親善総合病院 安藤  暢敏 病院長(あんどう・のぶとし)
1971年慶應義塾大学医学部卒業。同大医学部外科学助教授、
東京歯科大学市川総合病院外科教授、病院長などを経て、2015年から現職。

 明治政府樹立の5年前、1863年に、横浜の外人居留地に住む外国人が開設したのがルーツという国際親善総合病院。2018年3月、病院再整備事業による増築改修工事が終了した。産科の復活や緩和ケア病棟の開設といった取り組みに力を入れる。

―泉区内での役割は。

 病院は昭和の終わりまで横浜市関内地区にあり、1990年に当地に移転してから約30年になります。287床を持つ急性期病院ですが泉区には総合病院は当院のみで、地域の中核病院としての役割を果たしています。

 泉区は18ある行政区の中でも高齢化率が28・7%と特に高く、横浜市全体の24・4%を上回っています。

 従って当院への救急搬送の3分の2以上は高齢者。搬送される患者さんの疾患の内訳は、循環器疾患や脳血管疾患が中心で、地域からは特に救急医療に対する期待が寄せられています。

―産科を再開されました。

 かつて2000年代前半は当院の産科では年間約1000件の分娩を取り扱っていました。しかし産科や小児科の医師確保が大変難しくなり2014年8月に産科の休止を余儀なくされました。

 しかし、当院が産科を休止すると泉区内では分娩を扱う施設がまったくなくな

ってしまいました。親子2代にわたって当院で出産したという方も少なくない中で、地域からは当院の産科復活への要望は強く、またその要望に応えたいと私も思いました。そして病院長着任後の私の最初の仕事として産科医を確保。2017年4月、産科再開第1号のベビーが無事生まれました。

 現在、常勤産婦人科医が3人、小児科も2人となりました。産科復活後の分娩件数も2018年は年間270件を超え、目標に近づきつつあります。

―がん医療については。

 県内にはがんの専門病院がありますが、増加するがん患者に対して専門病院だけで対応するのはなかなか難しい。特に高齢者のがん治療はさまざまな基礎疾患を持っているため標準治療の適応が難しい場合もあります。

 加えて、高齢者の場合、地域でがん治療を完結したいという思いも強く、また家族も治療に大きく関わっているのも特徴です。

 そこで当院が提供しなければならないのは「地域密着型のがん医療」です。

 2016年に緩和ケア病棟をスタートしたのもそのためです。横浜市内では7施設目となりました。

 緩和ケア病棟が加わることで検査、診断そして治療から緩和までを地域内で切れ目なく完結できるようになりました。このトータルなシステムが当院のがん治療の特色の一つです。

 4分の1の患者さんは緩和ケア病棟から一度退院されます。そのため「在宅緩和」、つまり緩和ケアを在宅で継続するというシステムづくりも必要です。それには緩和ケアができる開業医の存在が欠かせません。

 緩和ケアのある当院と開業医の先生が連携。患者さんの要望に合わせて病院、在宅を行き来してもらいながら柔軟に対応する。これも一つの病診連携の形でしょう。

 しかし、まだまだ緩和医療を終の棲家と同様のものと考えている医療者も少なくなく緩和ケアへの情報発信の努力は今後も必要です。私たちも地域の皆さんと一緒に経験を積み上げていきたいと考えています。

―今後の課題は。

 横浜市内には在留外国人が多く、当院も外国人の患者さんが増加しています。

 これに伴い院内の受け入れ体制を強化するために4月にJMIP(外国人患者受入れ整備事業認証制度)を受審します。院内のサイニングの多言語化や各部署の受け入れ体制整備など準備を進めています。若手を中心にモチベーションが上がり職員全体への刺激にもなっているようです。


社会福祉法人親善福祉協会  国際親善総合病院
横浜市泉区西が岡1―28―1
☎045―813―0221(代表)
https://shinzen.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

コメントはこちらから

メニューを閉じる