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治療も経営も明るい未来像を描きながら

治療も経営も明るい未来像を描きながら


病院長(たにざわ・あきひこ)

1979年京都大学医学部卒業。
米国立がん研究所(NCI)留学、京都大学医学部附属病院小児科、
福井大学医学部小児科勤務などを経て、2019年から現職。

 小児科医として大切にしてきた「対話」。新しい病院においても、職員との対話を重視しながら、初めての病院経営に取り組んでいる。2019年4月、公立小浜病院に着任した谷澤昭彦氏に、小児科医としての歩み、これから病院経営について聞いた。

小児科医の視線で

 「先天的な病気のために、生活に困難が生じる子どもたちの状況を少しでも良くしたい」。それが、谷澤病院長が小児科医を志した理由だ。外科よりは内科を選び、常に患者に寄り添い、研究に取り組む姿勢が、自分に向いていると感じた。

 「小さい頃から治療を受け続けている患者さんが、小学生になり、成人式を迎える、結婚して子どもができる。病気がありながらも成長し、普通に暮らしているのを見ることが何よりの幸せですね」

 専門は、小児血液疾患と小児がん。難しい症例が多く、治療には困難な場面も少なくない。

 「子どもたちに泣かれると治療になりません。怖がられても問題ですし、お父さんやお母さんとの関係も重要です。常に、良好なコミュニケーションをとることを大切にしています」

 深刻な病名を聞くだけで、家族が精神的に不安定になることも多い。ちょっとした言葉のかけ違いでさらに不安が増し、厳しい言葉が返ってくるような場合もある。両親だけでなく、さまざまな家庭の事情を考慮しながら丁寧に説明し、理解を得ることが必要なのだという。

 「子どもの患者さんと話す時は目線を同じ高さにします。相手が座っていれば横に座る、しゃがむような時もあります。不安を取り除き、まずは仲良くなることを大切にしています」

まずは対話から

 病院長就任に当たって、それまで勤務経験がない病院から声が掛かったことに驚いた。

 「職員の皆さんが当たり前に使っている財務用語が分からないことも(笑)。突然、何か新しいことを始めるというよりも、これまで病院が掲げてきた方針、以前から働いている職員の皆さんの意見を大切に、協力していきたいと思いました」

 就任後、医師、看護師、検査部など各部署のリーダー一人ずつと院長室で面談。各部署や個人が抱えている問題や要望を、ヒアリングすることから始めた。要望で最も多かったのは、人手が足りていないことと、古くなっている機器を新しくしたいといった声だった。 しかし、人材を確保するといっても、経営面から考えると、そう簡単にはいかない。

 「病院経営は私自身にとって初めての領域。皆さんの要望をかなえたい思いはあるものの、すべては難しい。さらに、高齢化や人口減少などによって、患者さんのニーズも変化しています。これらの問題に取り組むために、どのような方法を選択し、病院の将来像を描いていくのか。今はまだ現状把握を続けている段階ですが、今後の私に与えられている最大の任務です」

 公立小浜病院には救命救急センターと、多くの診療科がそろっており、地元住民から頼りにされている存在だ。その信頼に応えるためにも、今後の取り組みが期待される。

故郷の風景と重ね合わせて

 「私は香川県高松市の出身です。ここ小浜の風景は瀬戸内海沿いの風景に似て、親近感がある。美しい海も山もあり好きな街です。今後も医療の現場は変化していくと思いますが、時代の流れに合わせながら、ずっとこの街の皆さんから頼りにされる病院であるよう努力していきます」

 これまで小さき命と目線を合わせて向き合ってきた谷澤病院長。今後も、患者や職員と目線を合わせ、地域の医療に貢献していく。

杉田玄白記念 公立小浜病院
福井県小浜市大手町2―2 ☎0770─52─0990(代表)
http://www.obamahp-wakasa.jp/hospital/

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