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沖縄県内で初の成功 ロボティックアーム手術

沖縄県内で初の成功 ロボティックアーム手術


院長代理・整形外科部長(やまうち・ゆうき)

1999年東京医科歯科大学医学部卒業。
組合立諏訪中央病院、青梅市立総合病院救命救急科、
東京医科歯科大学医学部附属病院整形外科非常勤講師などを経て、2016年から現職。

 ロボティックアーム手術支援システム「Mako(メイコー)」を用いた人工股関節全置換術に、沖縄県で初めて成功した同仁病院。国内での導入は10施設目となる。その手術を手掛けた山内裕樹院長代理・整形外科部長に、沖縄県の現場を踏まえ、話を聞いた。

─沖縄県における人工関節手術の現状は。

 沖縄県は変形性関節症の患者が多く、人工関節手術も比較的盛んに行われており、実績のある病院もいくつかあります。しかし私自身も含め、どんなに経験を積んだ医師でもすべての手術で完全に正確なインプラント設置ができているわけではありません。

 本県は島しょ県でもあり、離島からの手術患者も多い中で、離島に戻った際のトラブルはできるだけ避けたい。正確でないインプラント設置がトラブルにつながる可能性はあり得ることで、一つでも不安要素を取り除くための一助になるのではないかと考え、「ロボティックアーム手術」導入を決意いたしました。

─ロボティックアーム手術とは。

 もともと整形外科関節分野では「ナビゲーションシステム」を採用していました。これは術前の画像をもとに、患者さんの骨の正確な角度・位置をコンピューターが補足し、術中の骨切りやインプラント挿入する際に、正確な角度や量をリアルタイムに提案してくれる、というものです。

 今回のロボティックアーム手術は、このナビゲーションにロボット技術を組み合わせたものです。原則は人間がアームを操作、ロボットが角度や量の調整をアシストし、適切でない時には手術を止めます。これにより、切る必要のない組織を切ることがなくなり、インプラント設置の角度・位置異常を防ぐことができます。骨に至るまでのアプローチは従来通り。今まで人工関節の適応になっていた方は、そのままロボティックアーム手術の適応となります。

─ロボティックアーム手術のメリット、課題は。

 メリットは、その正確無比なインプラント設置能力に尽きます。ロボティックアーム手術では、人工股関節の際に設置角度の誤差は 1度以内、設置位置の誤差は 1ミリ以内でした。当院でこれまでに人間の手で行った手術(執刀経験 1000例以上)での誤差はだいたい 5 度以内、3ミリ以内。非常に正確であることが分かると思います。骨切りのための準備や、不要な骨切り操作を省くことができるようになり、手術操作自体の時間は短縮できるようになります。

 課題は、準備に時間がかかること。患者さんの骨の位置をコンピューターに認識させるための操作をレジストレーションと言いますが、この操作に現在はまだ15分ほどかかっています。また術前の準備にもある程度の時間を要します。センサーの感受性などはまだまだ改善の余地があり得ると思いますので、そこが改善されてきて、さらにレジストレーションに慣れて時間短縮できれば、より一層の時間短縮が期待できると思います。

 保険診療適用となっており、患者の金銭的な負担はほとんど増えません。病院としてはロボット手術加算で 2000点が取れますが、消耗品が1回の手術で 5万円〜8万円かかります。こちらについては、今後の正しい保険適用を期待したいところです。

─地域への貢献について。

 当院での関節分野はこのロボティックアーム手術のほか、再生医療や関節温存手術なども積極的に行っており、保存から手術までトータルマネジメントが可能です。

 島しょ県であり、他府県への移動が比較的難しい状況下で、他府県と比較しても遜色がないように選択肢を増やしたい、という思いの結果です。今後も地元の方々へ最良の医療を提供できるよう努力していきたいと考えています。

医療法人八重瀬会 同仁病院
沖縄県浦添市城間1─37─12
☎098─876─2212(代表)
http://www.yaese.or.jp/home/doujin/doujin.html

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