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沖縄の地域を理解し今後は国際化を視野に

沖縄の地域を理解し今後は国際化を視野に


病院長(おおや・ゆうすけ)

1982年九州大学医学部卒業。米シンシナティ大学医学部生理学教室留学、
琉球大学大学院医学研究科循環器・腎臓・神経内科学講座教授などを経て、
2019年から現職。琉球大学理事・副学長兼任。

 独自の歴史、文化を育んできた沖縄。医療の現場においても、地域性を考慮した熱心な教育が展開されている。沖縄県で唯一の医師教育機関でもある琉球大学医学部附属病院の果たす役割とは何か。4月に病院長に就任した大屋祐輔氏に語ってもらった。

地域性に沿った医師を育てるために

 琉球大学医学部附属病院は、日本本土から離れた島しょ県にある。このような立地条件における大学病院には、何が求められるのだろうか。

 「大学病院とはいっても、病床数も医師の数も十分とは言えないと思います。ただ、その中であっても、この沖縄県の医療に貢献したいと、働く医師たちの気概はたいへんなものがあります。このことは当院の特徴であり、強みとも言えます」

 この精神には、沖縄における歴史的背景も大いに関係していると言う。

 「太平洋戦争によって、一時期は医療現場も壊滅的な状態に陥りました。県内にいる医師の数は60数人にまで減ったと言われています。戦後は、アメリカ政府の支援などを受け、沖縄独自の医師養成とその確保が課題でした」

 1967年から、中部病院(現:沖縄県立中部病院)がハワイ大学と一緒に、臨床研修を始めたことをきっかけに、沖縄の地域性に適した医師づくりが始まったという。中部病院には、次第に県外の大学で学んでいた沖縄出身の学生、あるいは沖縄で学びたいという医師が集まってきた。

 「中部病院が築いてきた医師の育成を引き継ぎ、沖縄という地域にふさわしい医師を育てたいとしてできたのが琉球大学医学部です。臨床をベースにしながら、後進を熱心に育てようという熱い思いは、今も受け継がれています」

高い技術の習得とコミュニケーション

 医療者だけでなく、事務スタッフも包含した育成にも取り組む。特に必要なのが、高い技術の習得と共に、多職種間の円滑なコミュニケーションとチーム力だ。

 「医療者の技術習得のために、『クリニカルシミュレーションセンター』を設置しています。このトレーニングセンターは、ハワイ大学との提携により実現した欧米型の教育施設です。ここでのトレーニングは医療安全を確実にする点でも役立つでしょう」

 多職種間でのコミュニケーションに関しては、スタッフのスキルアップを目的とした講習会やワークショップなどを開催している。トップダウン式に物事を決めるのではなく、さまざまな部署が関わりながら、検討するよう心掛ける。

 「コミュニケーションの大切さについては事あるごとに話しています。すべてのスタッフが高いモチベーションを保っていけるよう、勉強する機会を増やしていくつもりです」

国際化に向けて「国際医療部」創設

 地理的なこともあり、外国や留学生の患者さんが多く訪れる国際性豊かな病院だ。沖縄にもともと外国人を受け入れる風土があることも大きいが、言語などの問題については、より深く理解しようと外国語を学ぶワーキンググループもできているという。

 「2020年の1月をめどに『国際医療部』を創設したいと思っています。これまでも各部署で、英語や中国語で書類を作るなど適時対応をしてきたのですが、もう少し整備した上で運営したいと考えています」

 また、経営面に関しては毎日すべきことを地道にコツコツしていく。これが基本だと話す。

 「経営基盤がしっかりしていてこそ、次のことへのチャレンジができます。統計など基礎的な部分から見つめ直し、安定した運営が継続できるようにしたいと考えています」

琉球大学医学部附属病院
沖縄県中頭郡西原町上原207 ☎098−895−3331
http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/

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