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沖縄の利点を生かし地域医療の向上を目指す

沖縄の利点を生かし地域医療の向上を目指す

大学院医学研究科 医学専攻眼科学講座
教授(こいずみ・ひでき)

1998年京都府立医科大学卒業。
米マンハッタン・アイ・イヤー・アンド・スロート病院研究員、
京都府立医科大学眼科助教、東京女子医科大学眼科講師などを経て、2017年から現職。

 2017年10月に、教授に就任した古泉英貴氏。2024年には医学部キャンパスおよび附属病院の移転が予定されており、その準備を進めながら沖縄県の地域医療に貢献すべく医療面、教育面双方でさまざまな改革を行っている。

―就任して2年。治療と研究の新たな動向は。

 まさにあっという間でしたが、非常に良い環境の中で仕事をさせてもらっています。医局員のみなさんは臨床能力が高く、われわれを支えてくれるスタッフの方々も優秀です。また、若い先生も入ってきてくれているので、今後がますます楽しみです。

 近年の画像診断技術の著しい進歩によって、より正確で精度の高い疾患の診断が可能になりました。以前はOCT検査で造影剤を使用するリスクがありましたが、最新の「OCTアンギオグラフィー」では超高速スキャンすることで造影剤を使わずに眼底の血流を検査することが可能になり、疾病の早期発見に役立っています。早期から治療が行えるようになった結果として、治療成績が向上していることを実感しています。

 私の専門分野である硝子体手術でも、技術の進歩で傷口が小さく侵襲性の低い手術が可能になったり、組織移植などの方法が普及しました。例えば難治性の黄斑円孔といった、以前は治すのが難しい病気も治せるようになっています。

 こうした医療技術の進歩から、眼科は視力維持を目指す時代から、さらに機能回復によって患者さんのQOL改善につなげていく時代になっていると感じています。

 研究面では、私自身のライフワークとして10年以上にわたって非侵襲的眼底イメージングの開発および臨床応用に取り組んできました。アメリカ留学時代から私が研究してきた診断や治療の技術がここ最近になって眼科のスタンダードになってきています。

 目指して研究していたことが現実のものになるのは、感慨深いものがあります。これからも10年後、20年後を見据えながら現在の研究成果をさらに発展させて、眼科学の新しい未来をつくっていきたいと考えています。

―沖縄県ならでの問題や課題は。

 慢性的なマンパワーの不足から、離島や過疎地域に医師を派遣することが困難であるという現実があります。この問題は一朝一夕には解決できないため、人材確保のための地道なリクルート活動を継続。大学病院だけではなく〝オール沖縄〟で取り組んでいかなくてはなりません。

 今後は地域医療にAIを活用した診断補助システムや遠隔治療の導入など、人的資源が不足していても治療に対応できる仕組みを視野に入れて構想する必要があります。

 日本眼科学会に所属する女性会員は4割を超えると言われ、眼科は比較的女性医師が活躍しやすい診療科です。しかし、女性特有のライフイベントがありますので、女性が継続的に安心して働けるような環境づくりが大切だと思います。

―今後に向けての抱負は。

 地域の先生方との緊密な連携です。さまざまな機会を通じて、大学病院が持っている知識や技術をフィードバックしていくことで信頼関係を築き、地域全体の医療水準を上げていくことが理想です。沖縄は昔から助け合いの意識が高く、相互互助の精神が文化として根付いています。そうした沖縄の良いところを通じて、高度医療を地域に還元していきたいと思います。

 沖縄は地理的にもアジアの玄関口にあり、医療の国際化を進める上でも重要な拠点です。来年からアジアの眼科医を招いて研究会を立ち上げる予定もあり、アジアにおけるリーダーとしての役割を果たしながら、琉球大学の理念の一つでもあるグローバリゼーションを推進したいと考えています。

琉球大学 大学院医学研究科 医学専攻眼科学講座
沖縄県中頭郡西原町上原207
☎098―895―3331(代表)
http://ganka.skr.u-ryukyu.ac.jp/

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