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求めるのは呼吸器内科の オールラウンドプレーヤー

求めるのは呼吸器内科の オールラウンドプレーヤー

大阪市立大学大学院 医学研究科 呼吸器内科学
川口 知哉 教授(かわぐち・ともや)

1988年大阪市立大学医学部卒業。米カリフォルニア大学デービス校研究員、
独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター(現:近畿中央呼吸器センター)
内科系部長を経て、2018年から現職。
大阪市立大学医学部附属病院化学療法センター長兼任。

 呼吸器内科のオールラウンドプレーヤー育成を基本方針に掲げる大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学講座。2018年に着任した川口知哉教授が手掛ける、臨床、研究、教育の各分野の取り組みとは。

―教授になられて1年余り。

 平田前教授は、呼吸器内科のオールラウンドプレーヤーを育成するという目標を掲げらており、私もそれを継承しながら講座運営に取り組んでいます。

 新専門医制度がスタートしたことや、大阪市を母体とする公立大学という特性からも、地域の肺がんなどに対する最先端の医療から慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ぜんそくなどの一般的疾患まで幅広く診ることができる医師を育成したいと考えています。

 教育という面では、若手の先生方には臨床での経験を、より多く積めるように工夫しています。外来当番としてCOPDやぜんそくといった日常診療に当たり、入院患者さんの診療では肺がんなどの疾患を経験します。

 呼吸器内科としては、週1回のカンファレンス、病棟回診に参加してもらいます。併せて放射線、外科など多職種が参加する肺がんに特化したキャンサーボードも実施しています。診療科や職種の垣根を越えて話し合う場ですので、学びも深まります。

 また、基礎的な手技を学ぶ場として、本学は「スキルスシミュレーションセンター」という研修施設を活用しています。ここでは採血のモデルなどを使ってリアルな実習ができす。医学部5、6年生になるとCOPD、肺がんといった分野専門の医師が座学も実施することで知識を深めます。

―臨床面での特徴は。

 高齢化と共に本学附属病院においてもがん患者さんが増加しています。当院はがんの外来治療を担当する化学療法センターを設けていますが、同センターの責任者を兼務していす。

 各診療科でがんと診断された後、患者さんはセンターの外来を受診し診察、その後治療に入ります。

 病院全体として月1回、化学療法のレジメン検討委員会を開き、使用薬剤の適応や臨床試験のデータをもとに、レジメンの妥当性を審議しています。検討委員会には担当する診療科のがん専門医、薬剤部、看護部など10人程度が参加しています。

 また、近年、肺がんの治療方針を決定するに当たって遺伝子の情報が不可欠なものになりつつあります。呼吸器内科では、最新のクライオバイオプシーを積極的に活用しています。これは気管支内視鏡を使って検体を取得する医療機器です。標本を凍らせながら採取するため、組織が剝がれやすくなり、十分で良質な検体を手に入れることができます。

 がんのゲノム医療への取り組みが進む中、精度の高い検査、診断を実施するためにも良質な検体の採取は欠かすことのできない要素です。また、この手技は高度な技術が必要でが、当院では国立がん研究センターの呼吸器内視鏡科で勤務をした医師が担当。府内での導入実績はわずかです。

―研究面での取り組みは。

 当講座は伝統的にCOPDの治療や研究に注力しています。最近ではマウスの実験によって、運動を取り入れたり、抗酸化物質を食事などで取り込んだりすることで、COPDに移行することを抑制するという画期的な結果を報告しました。食事や運動がCOPDに関わるという貴重な研究です。

 また、COPDと肺がんは喫煙と深い関係にあり、お互いに合併することが判明。そのメカニズムを解明する研究を行っています。さらに、EGFR遺伝子変異陽性肺がんの治療効果の予測因子について、最新のテクノロジーを用いて発見し報告しました。現在、同遺伝子変異陽性肺がんの患者さんを対象にした、医師主導治験を当院が中心施設となって行っています。

大阪市立大学大学院
医学研究科 呼吸器内科学 大阪市阿倍野区旭町1―4―3
☎06―6645―2121(代表)
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/kokyuki/

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