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次世代へ、 悔いなくバトンタッチを

次世代へ、 悔いなくバトンタッチを


荒川 穣二院長

1987年札幌医科大学医学部卒業。
旭川赤十字病院第一麻酔科副部長、北見赤十字病院副院長などを経て、2019年から現職。
北海道立北見病院指定管理者兼任。

 北海道の北東部に位置する北見市は、かつてハッカ(ペパーミント)を大規模栽培し、海外へも盛んに輸出した。北見赤十字病院はそのハッカが初めて海を渡った翌年の1935年に開設。以来、オホーツク医療圏の中核病院として住民の医療ニーズに応えている。2019年4月に就任した荒川穣二院長に抱負を聞いた。

6年に移転新築道立北見病院と一体診療

 創立80年を迎えた2016年に本館、北館、PET棟から成る新病棟を竣工(しゅんこう)。同時にオホーツク圏唯一の心臓血管外科のある道立北見病院も隣地に移転し接続。一体的な診療を実施し、救急・急性期医療の充実を図っている。

 「北見は雪が少ない地域ですが、この冬は異常なほどの少雪。驚いたでしょう」と陽光が注ぐ本館アトリウムで荒川院長は笑いながら出迎えてくれた。市街は日陰の芝生の上が多少白くなっている以外、ほぼ雪がない。旭川など雪がたっぷり積もったエリアを通過してきただけに、早春のような北見の景色に驚いた。

働き方改革が進行中

 オホーツク医療圏は、人口約29万人。面積は岐阜県より広いものの、典型的な広域過疎地域。北見市と網走市を中心とする北網圏、遠軽町と紋別市を中心とする遠紋圏に分かれ、協力し合いながら診療を続けている。課題は高齢化への対応。遠紋圏はすでに高齢化率35%、北網圏も5年後には遠紋圏と同レベルに達すると予想されている。

 超高齢社会に対応しつつ、質の高い医療を提供し続けるには、優秀な医療スタッフの確保が不可欠と考える荒川院長は就任早々、複数の対応策を同時進行させている。柱となるのが医療設備の高度化。

 「当院に医師を派遣してくださる北海道大学、札幌医科大学、旭川医科大学の3大学各教室において、今後も選ばれる医療機関であり続けるために、先端医療機器やICTの充実などに力を注ぎ、診療環境のさらなる高度化を進めることが欠かせないと思っています」と荒川院長。

 その上で医療スタッフの働き方改革に力を注いでいる。その一つが、院長自ら室長となって立ち上げた入退院センター準備室。看護師の業務軽減を目指す。

 「例えば病棟が満室の場合、別の診療科病棟に取りあえず入院し、ベッドが空き次第、本来の病棟に移るケースはままあること。しかし病棟ごとに手続きが異なると、業務は極めて煩雑に。電子カルテを含めた業務の標準化を図り、看護師の負担を軽減していきたい」と力を込める。

 次世代の医療人を養成する人材育成も大きなテーマ。院外研修への積極的参加はもちろん、新たな試みとなるのが、今年から始まる米国ニュージャージー州エリザベス市の医療機関との人事交流だ。荒川院長は「日米の医療制度はかなり異なりますが、職員の視野を広げ、組織の新たな刺激になればと思っています」

麻酔科医の経験を生かし病院運営に全力投球

 高校卒業後、北海道大学で物理学者を目指した。しかし、学者は肌に合わないと感じ中退、札幌医科大学に進んだ。「物理学より直截(ちょくせつ)的に人に役立つ職業に就きたいと思い、医者が一番だと考えたわけです」と笑う。医大時代は野球部に入部、チームワークの大切さを肌で体験した。卒業後の進路は友人の勧めと、野球部の顧問が麻酔科の教授だったことが決定打となり、麻酔科医の道へ。

 「手術中の麻酔管理が仕事の基本ですが、それ以外でも診療の要となって各科の医師や看護師などのまとめ役になります。この経験は病院運営にも必ず役立つはずです。定年まであと11年。次世代を担う医療人を育て、悔いなくバトンタッチしたいと思います」

北見赤十字病院
北海道北見市北6条東2
☎️0157-24-3115(代表)
http://www.kitami.jrc.or.jp/

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