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根釧圏の救急医療を守り地域住民の期待と信頼に応える

根釧圏の救急医療を守り地域住民の期待と信頼に応える


院長(たかひら・まこと)
1981年北海道大学医学部卒業。同第2外科入局。市立釧路総合病院心臓血管外科、
同副院長などを経て、2011年から現職。

 東北海道の中心都市であり、日本有数の水産基地でもある釧路市の基幹病院・市立釧路総合病院。東京都・千葉県・神奈川県を合わせた面積とほぼ同じ根釧圏の3次救急医療を担う同病院は今年、ドクターヘリの運航が10周年を迎えたほか、将来の医療需要を見据えた新棟建設計画も新たな段階に入っている。髙平院長に現状と今後の方向性を聞いた。

―148年の長い歴史を持っていますね。

 1872(明治5)年開設の官立釧路病院が当病院のスタートです。函館や札幌に次ぐ歴史があり、多くの人はそんな昔からこの辺りに「和人」が定住していたのかと驚かれます。実は江戸時代半ばから豪商や場所請負人による経済活動が行われ、船の建造技術や航海術の発展に伴い交易は千島や樺太まで広がっていたことが分かっています。

 函館開港後は中国への昆布輸出、外国船舶の燃料である石炭採掘も始まるなど活気にあふれました。明治に入り政府は現在の米町公園付近に木造平屋建ての病院を開設。初年の患者は入院2人、外来820人という記録が残っています。

―現病院は1984年竣工ですね。

 幣舞町にあった以前の建物は老朽化が激しく、また増築を重ねたためウナギの寝床のように細長い棟が連結するなど大変不便でした。

 新築を望む市民の声が高ま り総事業費約100億円、設計と建築に約4年半をかけて、国の天然記念物ヒブナが生息する春採湖がある春湖台に移転。春湖台を移転先に選んだ理由は、釧路は地震が多く津波の被害を避けるため海から離れた高台への移転が最適との結論に至ったからです。

 以降、必要に応じて増改築を実施。現在、病床数643、診療科数31、1日当たりの患者数は外来で約1300人、入院は約500人。病床利用率は約80%となっています。

―救命救急センターを含む医療の現状は。

 北海道最東部に位置する根釧圏の人口はおよそ30万。そのうち9割以上の住民は圏内で受療しています。これは圏内の医療機関による連携が極めて良好で地域の医療ニーズに応える医療が行われている証左だと考えています。

 他圏への移動に時間を要する地域特性、全国平均以上の高齢化率の上昇を考え合わせると、今後も地域完結型医療の維持が最も重要な目標になっています。3次救急医療を担う当病院の役割もますます大きくなっており、とりわけ24時間体制の救命救急センターに寄せる住民の期待と信頼に応え続けることが、私たちの最大の使命だと認識しています。

―道東ドクターヘリの実績と効果は。

 ドクターヘリの出動範囲はおおむね100㌔圏内で、初年から昨年までの出動実績は合計約4000件となっています。屋上へリポートを設置する当病院が基地病院、地上へリポートおよび格納庫、給油施設を設置する孝仁会記念病院が基幹連携病院となる2病院体制で運航し、受け入れ先病院は診療科ごとに設定する独自のシステムを構築しています。搬送時間の短縮により、最寄りではなく最適な病院搬送が可能となり、救命率向上に貢献しています。

―新棟建設の状況を教えてください。

 現在の建物もすでに35年が経過。老朽化とともに手狭となり最新の大型医療機器の導入が十分に進まないほか、災害拠点病院の要件クリアのためにも新棟建設は避けられないのが現状です。

 現敷地内での建設が決定しており、圏域の動向やニーズを見据えた合理的かつ機能的な施設実現のために、基本設計を入念にチェックしながら進めています。今後も建設に向け精力的に取り組んでいきます。

市立釧路総合病院
北海道釧路市春湖台1―12
☎0154―41―6121(代表)
https://www.kushiro-cghp.jp/

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