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柔軟性とバランス感覚を持った形成外科医を育成

柔軟性とバランス感覚を持った形成外科医を育成

清水 雄介 教授(しみず・ゆうすけ)
1998年慶應義塾大学医学部卒業。
静岡赤十字病院形成外科、慶應義塾大学医学部形成外科准教授、
琉球大学医学部附属病院形成外科特命教授などを経て、2018年から現職。

 2015年に琉球大学に形成外科が設立されると同時に赴任した清水雄介教授。患者のQOLに大きく関わる形成外科のニーズやその魅力、これからの形成外科医に求められる資質などを聞いた。


―強みを教えてください。

 最も多い手術が、舌がんや咽頭がんなどの頭頸部(けいぶ)再建です。実は、沖縄では頭頸部のがん患者さんが本土に比べて多く、飲酒の影響ではないかと考えられています。耳鼻咽喉科とは術前からカンファレンスを行っており、腫瘍を切除後、形成外科が腹部や大腿(だいたい)部から、皮弁(ひべん)移植術を行います。この手術が毎週、多い時は週2回ほど実施しています。

 全国的に増えている眼瞼下垂の手術も多く実施しています。私が琉球大学に赴任する前から専門としており、要因としては加齢性や先天性などがありますが、これからも患者さんは増えてくるでしょう。

 2020年から口唇口蓋裂の治療も始めました。これまでは歯科口腔(こうくう)外科が単科で取り組んでいましたが、口蓋裂については歯科口腔外科が担当、口唇裂とそれに伴う外鼻変形は形成外科で担当し、協力体制を整えて
診療に当たっています。


―形成外科の魅力は。

 これからは患者さんのQOLが重視される時代です。われわれが直接命を救う機会は多くないですが、他科の先生と連携し、患者さんのQOLを高めるサポートをする形成外科は、医療の発展に貢献できる分野だと確信しています。ただ、東京や大阪などの大都市の大学では人材が多いものの地方の大学は厳しい。それだけに、しっかりと形成外科の魅力を伝える必要があると感じています。

 魅力の一つは、患者さんの失われた体の機能を「再建・再生」するクリエイティブな科であることです。非常に範囲が広く、典型的な手術が少ない。キャリアが長くとも、初めて携わる手術が数多くあります。
 
 また、他科と協力して治療を進める機会が非常に多いことも魅力の一つです。例えば、頭頸部がん切除後の遊離皮弁移植は耳鼻科や口腔外科との連携、乳がん切除後の乳房再建は外科との連携、頭蓋再建は脳外科と、外陰部がん再建は泌尿器科や婦人科と非常に多岐にわたります。

 形成外科は、業務の7〜8割が手術による治療。自分の技量を高めたい、細かい手技とか手術が好きだという人、芸術的なセンスがある人が形成外科医に向いていると言われてきました。ただ私は、そのような資質の中で最も大事なことは人間的な協調性だと感じています。形成外科医は「自分の心の奥に独立心を持ちながらも、所属した組織の中で自分の考えを柔軟に変化させて学ぶことのできる人」「自分と周囲のバランスを取れる人」であってほしいと思います。


―今後と後輩への言葉を。

 引き続き、手術技量の向上を目指し、形成外科医としての基本を全うしていきたいと考えています。しかし、私一人では、到底全ての形成外科の領域をカバーできません。若い医師の場合は、まずはゼネラリストとして幅広く学ぶ、その中から自分の専門領域を一つか二つ深めていくことが必要になると思います。

 クリエイティブという意味では起業家精神も持ってほしい。私は再生医療事業、医療機器開発、ベンチャー企業の設立にも携わってきました。目の前の患者さんを救うというミクロの視点と、産官学連携プロジェクトを通して、未来の社会で多くの患者さんを救うシステムの構築、発明といったマクロの視点を両立させられるのが理想ではないでしょうか。

 ただし、ベースは患者さんに寄り添った医療です。起業を目指す人であっても、まずは患者さんをどう助けたいか、将来出てくる患者さんのために何ができるのかを、忘れないでほしいと思います。



琉球大学大学院医学研究科形成外科学講座
沖縄県西原町上原207  ☎098―895―3331(代表)http://www.ryukyuprs.com/

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