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枝葉にとらわれず「木」と「森」を見る医療を

枝葉にとらわれず「木」と「森」を見る医療を

社会福祉法人小倉新栄会新栄会病院  病院長(ながた・まさはる)
1997年長崎大学医学部卒業、九州大学第二内科(現:病態機能内科学)入局。済生会八幡総合病院、
広島赤十字・原爆病院、九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)などを経て、2019年から現職。

 1946年に発足した社会福祉法人小倉新栄会(当時は財団法人新栄会小倉支部)が運営する施設の中心的な存在である新栄会病院。慢性期、回復期医療を軸にしており、この4月には介護医療院もスタートさせた。永田雅治新病院長に、地域医療への思いと今後の抱負を聞いた。

―4月に病院長就任。まずは法人や病院について改めて教えてください。

 小倉新栄会のグループ施設には、特別養護老人ホーム「新栄きよみずの杜」や「ケアハウス小倉」「しんえいデイサービス」「新栄はやとも保育園」などがあります。

 設立当初の新栄会病院は急性期医療を行っていました。藤井一朗前病院長が療養型にかじを切り、以来20年を超える時間をかけて地固めに努めてきました。

 病床数は165床で、うち20床は地域包括ケア病床、85床が医療療養病床。60床が4月に開設した介護医療院です。もともと広さなど開設の要件はクリアしていましたので、パーティションなどの追加で整備することができました。特に混乱することもなく、スムーズに転換が完了しました。

―地域医療についてどのような思いを。

 地域包括ケア病床は2018年に開設しました。受け入れの対象は急性期を脱したが引き続き入院治療が必要なポストアキュート、在宅で症状が急性増悪したサブアキュートの患者さんで、それぞれが半数ずつの割合です。

 また、当院は「機能強化型在宅療養支援病院」でもあります。近隣のクリニックと連携して、100人を超える在宅の患者さんたちの訪問診療に取り組んでいます。今や、訪問診療は当院の柱の1本です。患者さんそれぞれの状況を踏まえて、介護医療院、特別養護老人ホーム、あるいは在宅など、それぞれに適した療養環境につなげます。藤井前病院長をはじめ、地域の要望に懸命に応えようとしてきたからこそ、このような体制が整ったのだと捉えています。「教育の場」の役割も担い、九州歯科大学の実習も引き受けています。歯だけに特化した内容ではありません。リハビリ室で患者さんの体の動かし方、車いすへの乗せ方、嚥下(えんげ)障害のある高齢者のサポートなど、なかなか大学では経験できないことを重視しています。

 私は九州大学で、心筋梗塞や脳血管疾患などの疫学調査「久山町研究」に携わりました。感じたのは病気という枝葉だけにとらわれるのではなく、人という「木」とその人たちが暮らしている地域という「森」を見る視点が大切だということです。未病の段階でどう介入していくか、急性期医療以外の領域にも目を向け、考えるきっかけになりました。

 急性期医療の現場では医師が専門分野のスキルを発揮することで患者さんに貢献します。そして、急性期を終えた後にも必要となる医療、介護があります。機能分化が進んでいく中で、療養型の医療機関がカバーする領域が広がっていくのではないか。そう思ったのが、私が新栄会病院での勤務を決めた理由の一つでもあります。

―今後は。

 昨年に整備した地域包括ケア病床と今年4月に開設した介護医療院。これらの方向性を改めて明確にして、どう伸ばしていくかが大切だと思います。

 訪問診療の現場では、継続的な治療が必要であるにもかかわらず外来での受診が難しい。そんな方が多いことを実感します。土日の対応など、できる限り体制を整えたいと思います。

 社会的に弱い立場にいる方や、経済的に困窮している方。その手助けも可能な範囲で続けていきたい。実際に、受け入れてくれる医療機関がないという高齢者などもいるのです。地域のニーズに、より応えていきたいと思っています。

社会福祉法人小倉新栄会 新栄会病院
福岡県北九州市小倉北区弁天町12─11
☎093─571─0086(代表)
http://www.shin-eikai.com/byouin/

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