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東邦大学医療センター大森病院 病院長 瓜田 純久

東邦大学医療センター大森病院 病院長 瓜田  純久

 新年、明けましておめでとうございます。去りゆく2019年に詰まった思い出を惜しみつつ、来る2020年への期待を胸に、さまざまな思いで年末年始を過ごされたことと思います。

 2019年は大きな自然災害が何度も日本列島を襲いました。地震などの自然災害を予測することは非常に難しく、多くの研究者が予測を試みても明日の災害を予測して対応することはできません。サイコロゲームのように平均値付近が最も多い正規分布と異なり、地震の大きさ(マグニチュード)が2倍になると発生頻度は4分の1になることが知られています。

 縦軸を発生頻度、横軸をマグニチュードとすると、縦軸の値が横軸の値の約2乗に比例する冪(べき)乗則が明らかとなります。頻度の小さいものが圧倒的に多く、マグニチュードが大きくなるに従って発生頻度が急激に減少していきます。

 一方、正規分布は平均値から遠い値の頻度はゼロになりますが、冪乗則に従う現象では、ゼロになることはありません。すなわち、これまで経験したことのない大地震が発生する確率はゼロには決してならないのです。

 特定機能病院は高度な医療を、より高度な安全を確保して提供することが大きな使命です。「To Err is Human(人は誰でも間違える)」でもあり、細心の注意を払っても、インシデントは避けることはできません。医療安全に取り組み、インシデント総数は減少させることはできますが、発生したインシデントを検討すると、その重大さと頻度は冪乗則に従って、軽度のものが圧倒的に多く、重大なものは極めて少ない分布を示すはずです。

 同時に、これまで経験したことのないアクシデントが発生する確率もゼロになることはありません。自然界が従う冪乗則から逸脱する頻度でアクシデントが発生した場合、何らかの人為的要因が介在しているはずであり、速やかに積極的な対応が必要です。

 医療機関が集団としての個性を確立し、発展・進化するためには、十分な数の構成員とそれらの適度な相互作用が必要です。単調な仕事にみえても、相互作用により成果が大きく変化する場合があり、集団はあたかも別な生き物のような個性を発揮します。チームで取り組む医療安全は、単調な日常をコツコツと積み上げた集団としての新たな個性とも言えます。

 大森病院は本年も集団としての個性を確立し、社会に貢献できるように努力してまいります。ご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

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