九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

東京女子医科大学病院 病院長 田邉 一成

東京女子医科大学病院 病院長 田邉 一成

 令和元年はAIと労務管理が大きな話題になりそうであると2019年このコラムで書かせていただきましたが、まさにそのような時代になってきています。

 医師の働き方改革は、いろいろと異論はあるものの着実に進みつつあるというのが実感です。医師の業務の特殊性から時間外労務やむなしというのは過去のものとなりつつあります。実際、私の病院でも業務の効率化が進んでおり時間外労務は着実に減少しています。 

 2019年のこの欄でも書きましたように、手術や内科処置の低侵襲化が著しく進んでおり、入院期間の短縮が進み、最近では病棟稼働率が低下する傾向さえ見られます。また、低侵襲化に伴い格段に患者管理が容易となっており病棟業務の低減に大きく貢献していると思います。実際、私の専門のロボット支援下腎がん部分切除術では入院期間は術後3日となり、開腹手術の半分の期間となっています。

 術後の回復も迅速で術翌日から普通食の摂取も可能となっています。このような低侵襲化は術後管理を著しく簡便化しており、働き方改革に大きく貢献していると思います。

 AIの医療現場への導入は着実に進んでおり、今後の働き方改革に大きな影響を及ぼしていくことは確実ですが、働き方改革どころか医師の仕事の大幅な減少に向かうことも確実となっています。

 現在、内視鏡画像診断、病理画像診断、放射線画像診断をはじめ診断アルゴリズムの開発も進んでおり、医師よりも正確に、短時間に膨大な量の診断が可能となってきています。

 私の専門とする腎移植分野では、複雑な免疫抑制法や拒絶反応のコントロールなどを加味したアルゴリズムの開発が進みつつあり、近い将来、熟練した医師よりも優れた治療方針提示ができるようになると考えられます。

 これらの進歩はまさに日進月歩で、月単位で変化していることが肌で感じられます。10年後の医療はおそらく病室さえ必要としなくなるかもしれません。このような大変革の中で、わくわくしながら2020年も仕事ができることを楽しみにしています。

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