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札幌医科大学医学部 麻酔科学講座 多様な研究 高い倫理観持つ麻酔科医を育成

札幌医科大学医学部 麻酔科学講座 多様な研究 高い倫理観持つ麻酔科医を育成

教授(やまかげ・みちあき)
1988年札幌医科大学医学部卒業。旭川赤十字病院麻酔科、
米ジョンズ・ホプキンス大学医学部麻酔・集中治療学講座研究員などを経て、
2009年から現職。

 札幌医科大学の麻酔科学講座は1957年、全国で4番目の麻酔学講座として開講した。安全で質の高い医療の提供を目指し、救急や集中治療、緩和ケア領域にも人材を輩出している。山蔭道明教授に、講座の特徴や課題について聞いた。

─講座の特徴について。

 臨床教育、研究教育を重視しています。麻酔科研修プログラムでは、毎週土曜に「麻酔塾」という勉強会を開き、神経ブロックや救急、ICUなどについて、講師を招いて学んでいます。実技では、ファントムという模型を使って気道確保や神経ブロックの修練を行うなど、基礎固めに力を入れています。

 麻酔科医が持つ循環管理や呼吸管理などの知識は救急医療や集中治療に応用できるので、北海道では麻酔科医の進路の一つになっています。若い先生が地方に行った際、麻酔だけしかできない状態では地域医療が成り立たたない状況もあります。

 教授の専門領域を研究テーマにする教室が多いと思いますが、本教室では教室員が興味のあるテーマを研究しています。私は呼吸などを専門にしていますが、循環・疼痛(とうつう)・がん・筋弛緩(しかん)など多様な研究が行われています。どの大学もマンパワー不足で研究より臨床を重視する風潮があり、じっくり研究に取り組みにくい環境になっているように感じます。臨床と研究を両立できるように、麻酔科の魅力を伝えて人材を集め、研究費も確保して教育に力を入れるのが私の役割だと思っています。

 私は日本麻酔科学会の英文機関誌「Journal of Anesthesia」の編集長を4年3カ月務めてきました。良い論文を見極めて世に出していかなければ、学術の底上げにはつながらないという思いで続けてきました。

─麻酔科の魅力と課題は。

 私は心臓外科に憧れて札幌医科大学に進学しました。授業や実習を受けているうちに、少し薬を投与するだけで患者さんが寝て呼吸が止まり、痛くも痒くもなく手術が終わって目覚めて帰っていく。そこに麻酔科の魅力を感じました。

 麻酔科は非常に専門性が高く、麻酔科標榜(ひょうぼう)医の資格が設けられています。麻酔科学会の先生方が自ら厳しい試験を課し、制度を作ってきた歴史があります。しかし現状は麻酔科医不足で、手術のみを高額で担当するフリーランスの医師がごく一部にいます。

 患者さんに寄り添えるような高い倫理観を持つ医師をどう育てるかが、麻酔科全体の課題ではないかと思います。「良いお医者さん」というのは、技術と知識だけがあれば良いというわけではないのが難しいところです。

─北海道の麻酔科医療と今後について。

 北海道は広くて降雪が多い上に、赤字路線が廃止されて交通の便が悪くなりつつあります。手術1件のために1泊2日かけて飛行機で行かなければならない場所もありますが、札幌にいれば2日で10件の手術ができるかもしれません。

 2次医療圏も広大で、例えば産科で緊急帝王切開が必要な場合、あらゆる場所に30分以内に到着するよう麻酔科医を配置するのは困難です。道内で同じ医療レベルを維持することは非常に難しいことです。

 道内の麻酔科研修プログラムには、手術件数に照らし合わせて定員(シーリング)が設定されており、北海道で麻酔を勉強したいという人がいても、お断りしなくてはならないこともあります。麻酔科の専門医の中には救急や集中治療に従事している人や病院管理者をしている方もいるので、シーリングを外すべきだと要望しています。

 今後も、さらに多くの麻酔科医と麻酔科をベースにした救急や集中治療医を育てていきます。優秀で人の気持ちが分かる医師に一人でも多くなってもらい、北海道で活躍してほしいと願っています。


札幌市中央区南1条西16 ☎011─611─2111(代表)
https://web.sapmed.ac.jp/masui/

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