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札幌医科大学医学部 神経精神医学講座 研究、臨床、教育を一体化 実践を通し精神科医を育成

札幌医科大学医学部 神経精神医学講座 研究、臨床、教育を一体化  実践を通し精神科医を育成

河西 千秋 主任教授(かわにし・ちあき)
1989年山形大学医学部卒業。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校、スウェーデン・カロリンスカ研究所、
横浜市立大学医学部精神医学准教授、同健康増進科学教授・保健管理センター長などを経て、
2015年から現職。

 コンサルテーション・リエゾンやがん患者へのメンタルヘルス支援、地域介入活動などを通して、臨床・・教育の一体化を進めてきた札幌医科大学医学部神経精神医学講座。河西千秋主任教授に、COVID―19の話も含めて聞いた。

―地域介入に積極的です。

 精神疾患の病態に関する基礎研究と並立で、、そして地域介入活動に基づくメンタルヘルス研究に積極的に取り組んでいます。2019年2月から別海町での活動を開始しました。北海道の自殺率は全国平均よりも高いのですが、自殺を減らすためには、あらゆる人の心が大事にされる、「メンタルヘルス・リテラシー」の向上と、地域の支援ネットワーク構築がポイントです。そのための普及・啓発や、ゲートキーパー教育、専門職者への研修活動から活動を開始しました。

 北海道唯一の公立大学の医学部精神科として、道内各地域への医師派遣と地域医療の均てん化は私たちの使命です。しかし、それでも、精神科を受診するのに2〜3時間かかる周辺地域も少なくありません。だから、別海町では、精神科の医療資源にあまり頼らずにできる地域自殺対策の開発が目的です。町の各セクターへのヒアリングや住民と話し合いをしながらの活動と、効果検証のための研究を進めています。

―臨床での特徴は。

 コンサルテーション・リエゾンに積極的に取り組んでいます。救命救急センターからの相談件数が特に多く、自殺未遂などで搬送された患者に対しては、即時全例に介入し、私が共同研究者と開発し、自殺再企図防止にエビデンスのあるケース・マネジメント介入を実施します。

 今後、COVID―19の影響で、自殺を企図し搬送される患者さんが増えるかもしれませんが、その動向や実態について、福岡大学、奈良県立医科大学など6大学で協力して実態調査を進めています。また、がん患者の自殺を防ぐための介入方略開発研究も、多施設共同で実施しています。

 GID(性同一性障害)クリニックを持つのも特徴です。これは、2003年に設置された東日本を代表する専門クリニックです。泌尿器科や婦人科、外科、形成外科と共同で診療に当たりますが、当科は見立てを行い、患者の精神的な問題や支援の課題について、蓄積された患者情報も活用して対応しています。

 もの忘れ外来を入り口として、神経再生医療科と共に認知症の患者さんに対する再生医療治験も実施しています。当大学病院で初めて承認された脊髄損傷患者に対する自己血由来の間葉系幹細胞移植を、認知症の患者さんに応用するというものです。

 COVID―19の影響で、閉塞的な社会状況が続き、生活問題に苦しむ人が増えています。2020年7月以降、自殺者数が増えています。感染リスクへの懸念や生活苦によって受診控えをしている方も少なくないと思います。行政のワンストップ・サービスやゲートキーパー機能から受療につながるような仕組みが必要です。

―精神科医の育成について。

 実践第一主義です。スチューデント・ドクターには実際に初診患者に問診をさせ、初期研修医は病棟主治医になります。最先端の臨床研究の現場も体験させます。特徴的な臨床研究があって、それと教育の一体化を実現しているのが、当講座の魅力だと思います。

 「幅広い知識と技術をもつ、見識のある精神科医」が求められています。精神科の病気は多彩で、脳不全を起こすような脳や身体の病気も精神症状を発現します。また、精神科は、学校現場、職域、高齢化社会、自殺対策など、さまざまな社会領域にコミットしています。だから精神科医の需要は高く、医師数はまったく足りません。今後、医療者を目指す方や、その周囲の方々にも、もっと精神科に注目をしていただきたいと思います。

札幌医科大学医学部 神経精神医学講座
札幌市中央区南1条西16―291 ☎︎011―611―2111(代表)
https://npsy.sapmed.jp/

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