九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

未来へ向けて地域を主導 「医療のエコシステム」

未来へ向けて地域を主導 「医療のエコシステム」

山形 専 院長(やまがた・せん)
1975年金沢大学医学部卒業。国立循環器病センター
(現:国立循環器病研究センター)、京都大学医学部脳神経外科臨床教授、
倉敷中央病院副院長などを経て、2016年から現職。


 病床数1172床のスケールメリットを生かした独自の経営手法が注目を集めている岡山県倉敷市の倉敷中央病院。山形専院長が力を入れる地域医療の新たなシステムの構築や、コロナ禍を契機とした院内改革について聞いた。


―現在特に力を入れている取り組みは。

 地域における「医療のエコシステム」の確立を目指しています。当院は、地域全体を相互補完的な一つの大きな医療グループと捉えています。エコシステムは、地域のそれぞれの医療機関が得意な領域を有効に生かし、地域全体で患者さんを診ることができる仕組みのことを指します。現在の医療は入院中心のシステムですが、今後さらに人口減少、高齢化が進めば、おそらく在宅を中心とした医療にシフトしていくでしょう。 

 基本的に大半の患者さんは、手術や治療後になるべく短期間で退院して自宅に戻り、在宅での診療、リハビリテーションをメインに行うことを想定しています。入院期間を減らすことは患者さんにとっても望ましく、認知症などの予防につながることも期待されます。

 このような医療を推進するためには、「エコシステム」の仕組みづくりが不可欠だと考えています。当院は高度急性期機能に加えてハブ病院の役割を果たし、患者さんの重症度や疾患の種類に応じて他の医療機関へ引き継ぎ、情報共有することで、スムーズな治療につなげます。


―医療機器の稼働効率の向上にも取り組んでいます。

 各診療科からの要請に応じ、医療機器を購入していますが、院内全体の稼働台数や利用頻度などは把握できていない状況でした。この課題を解決し、病院運営の効率化を図るため、7年ほど前から民間企業と共同で取り組みを開始しました。

 超音波診断装置にセンサーを設置し、あまり使われていない機器や、各機器の利用時間などを分析しました。分析の結果、頻繁に使用しているのは全体の約3割であることが分かりました。複数の診療科で共有して使える機器も洗い出すことができ、新規の購入要請は減少。2020年度には、超音波診断装置を114台から95台に減らすことができました。決算ベースでは、約7000万円の削減につながりました。


―今後の展望は。

 新型コロナウイルス感染症は当院の運営にも大きなダメージを与え、国からの補助金では赤字を補えないような厳しい状況です。それでも、私は病院全体を大きく改革するチャンスだと捉えています。

 改革のためにまず行うべきだと考えているのは、病棟の再編です。平時の場合、診療科別などに固定された病棟を変更するのは職員が抵抗を感じることも予想され、何かと難しいもの。しかし、コロナ対応を通じて職員の配置や入院患者さんの受け入れ体制が大きく変化したことで、病棟再編の機運が生まれました。今後はコロナの対応も継続しながら、病棟全体を有効に活用できるよう整備したいと考えています。

 同時に、集中治療室の再編・統合も検討しています。当院には救急科、脳神経外科などの診療科に計五つの集中治療室がありますが、診療科別ではなく、「病態別・重症化別」にして2部門程度に整理したい。これまでは大学病院に近い形で臓器別に運用してきたものの、最近は複数の臓器に疾患がある患者さんが増えていることが理由です。

 コロナは、病院の将来を計るリトマス試験紙ではないかと考えています。組織一丸でコロナに対応している病院は「変化に強い病院」で、今後も残っていくでしょう。当院もその一つだと信じています。今後は、共に奮闘を続けている地域の医療機関とエコシステムを確立し、地域医療をさらに発展させていきます。

公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院
岡山県倉敷市美和1―1―1
☎086―422―0210(代表)
https://www.kchnet.or.jp/

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