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最新治療を提供する環境を スマート治療室も稼働

最新治療を提供する環境を スマート治療室も稼働

 本田 孝行 (ほんだ・たかゆき)
1981年信州大学医学部卒業。
米サウスカロライナ州立サウスカロライナ医科大学、
信州大学医学部病態解析診断学教授などを経て、2017年から現職。
信州大学理事・副学長兼任。


 「長野県の医療の最後の砦(とりで)であるためには最新の治療を提供できる環境づくりが大切だ」と語る本田孝行病院長。昨年開設した包括先進医療棟は、その環境づくりのための布石だった。

大学附属病院の役割や現状などについて。

  長野県は人口約205万8000人、本学附属病院のある松本医療圏には約43万人がいます。県内唯一の国立大学病院であり、特定機能病院でもあります。

 2014年に国立大学病院は独立法人化。当院も病院の経営状態を安定させることは急務でした。一般企業の場合も収支が悪いと設備投資ができませんが、病院でいえば収支の悪化によって最新の医療機器を購入できないという事態はあってはなりません。

 当院の県内での大きな役割は最新の治療を提供すること。つまり、最新の医療機器の整備は生命線と言っても過言ではありません。そこで、当院は大学病院でしかできない、より高度な医療を積極的に行うことが必要だと考えました。

 ところが、当院の手術数は毎月600件ほどですが、手術室に空きがなく、不足していました。背景の一つには、高齢患者の増加があります。高齢者の場合、合併症を持った患者さんが少なくありません。つまり、手術の難易度が上がり一つひとつの手術の時間が長くなっていました。加えて患者数の増加によって、昼間に緊急手術を実施しなければならないことも多く、結果、本来昼間に実施するはずの予定手術を夜中に実施せざるを得ない状況も見受けられました。

 夜中の手術はリスクを伴うことでもあります。これを回避するためにも、手術を受けられる環境整備が必要だと考え、昨年4月に病院敷地内に6階建ての包括先進医療棟を開設し、手術室を増室しました。


―具体的にはどのような機能がありますか。

 手術室はこれまでの12室から18室と、6室増室しました。一般手術室のほかにハイブリッド手術室、ロボット用の手術室、そして昨年秋に手術をスタートしたスマート治療室が加わりました。

 スマート治療室は日本医療研究開発機構(AMED)の助成で「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」の一貫として脳神経外科を中心に「安全性と医療効率の向上を両立するスマート治療室の開発」を進めています。

 治療室の大きな目的は手術室のIoT化です。IoT化を活用することで、手術室内の機器を接続し、手術室内にあるMRIの画像などの情報から手術の進行状況や患者さんの状態を収集し、より精度の高い手術につながる情報を術者や手術室のスタッフに示すことができます。

 また、術後の受け入れ強化のためICUも4室増室し14床にしました。新生児科のフロアを整備し、婦人科や乳腺・内分泌外科を集約したレディース病棟も初めて開設しました。


課題については。

 病院の整備事業はしばらく続きます。病棟の建物は建設から20数年を経て老朽化が進んでいますので、病棟の改修工事を計画しています。2021年にスタートする予定で、工事期間は4年を予定しています。

 また、働き方改革についての取り組みも進めなければなりません。医師の場合どうしても長時間労働になりがちですので、勤務時間なのか、あるいは自己研さんの時間なのかという見極めは必要でしょう。

 しかし、研修医のようにこれから伸びようとする人のモチベーションを抑えるようなことをしてはいけません。その一方で短時間勤務を希望する女性医師もいます。一人ひとりの多様な働き方を認め、うまく組み合わて総合力を高めていくことが働き方改革の解決策の一つになりそうです。


信州大学医学部附属病院
長野県松本市旭3―1―1
☎0263―35―4600(代表)
http://wwwhp.md.shinshu-u.ac.jp/

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