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最新がん医療と後進育成に力注ぐ

最新がん医療と後進育成に力注ぐ

先端がん治療センター
田村 研治 教授(たむら・けんじ)

1992年広島大学医学部卒業。近畿大学医学部腫瘍内科臨床講師、
国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科科長などを経て、2020年から現職。
島根大学医学部附属病院腫瘍内科教授併任。

 2020年6月、教授に就任した田村研治氏。自身がこれまで携わってきた最先端のがんゲノム医療を推進すると同時に、腫瘍内科の領域を地域に根付かせることを大きな目標に掲げている。

恩師との出会いで腫瘍内科の道へ

 島根大学医学部附属病院は、2021年1月に従来の診療科である腫瘍・血液内科を血液内科と腫瘍内科の二つに分ける再編を行った。田村氏は先端がん治療センターの教授に加え、腫瘍内科の教授も務めている。

 「大学の教授を目指した理由として、私の専門である腫瘍内科の認知度をさらに上げることや、専門医を多く育てたいという気持ちがありました。今回の診療科の再編は、目標への第一歩だと捉えています」

 腫瘍内科を選んだきっかけは、恩師である福岡正博氏(現:和泉市立総合医療センター名誉総長)との出会い。大学卒業後2年目、大阪府立羽曳野病院(現:大阪はびきの医療センター)の第二内科で研修した際、肺がんの臨床試験を数多く行っていた福岡氏に師事し、研さんを積んだ。

 8年後に近畿大学医学部に全国初となる本格的な腫瘍内科が開設され、福岡氏が初代教授に就任。研修医時代の縁もあり、再度一緒に働く機会を得た。

 「肺がんを専門にしていましたが、再び福岡先生の薫陶を受け、腫瘍内科医の道を歩み始めました。腫瘍内科の知名度は高くなかったですが、『メディカルオンコロジスト(腫瘍内科医)』という言葉に惹かれ、臓器横断的に遺伝子の変化を捉えて薬剤を開発することに魅力を感じました」

経験生かしゲノム医療を推進

 国立がん研究センター中央病院の乳腺・腫瘍内科科長などを経て、先端がん治療センターの教授に就任。島根に赴任してから半年が経過し、気候も、接する患者さんも穏やかなところが魅力だと感じている。

 附属病院内のがん診療では、「司令塔」の役割を担う。「さまざまな部署、診療科が集まって開催する検討会の『キャンサーボード』の統括をしています。昨今はチーム医療が進み、多職種の関係者が合同でがん治療の方針を決めることが不可欠で、現在は月に2回程度していますが、さらに回数を増やそうと考えています」

 臨床面も含め、今後注力していくのはゲノム医療だ。国立がん研究センター時代、がんゲノムプロファイリング検査の開発に携わり、現在は日本臨床腫瘍学会、、日本癌学会の3学会でつくる「合同ゲノムタスクフォース」の委員長を務めている。経験や活動を生かし、院内や地域でのゲノム医療の底上げを図っていく。

患者さんの意志、EBMのバランス重視

 腫瘍内科医として診療に当たる上で大切にしているのは、エビデンス・ベースド・メディスン(EBM)と、患者さんの意志とのバランスを取ることだ。

 「根拠のあるデータに基づいた最新治療を提供することは重要だが、患者さんの状態はそれぞれで、医療費などの問題もある。医師としてはEBMの理念も守りつつ、最終的に患者さんの意思を尊重することが大切。治療法について別の選択肢があることを分かりやすく説明することも能力としてより必要になってくるでしょう」

 後進の育成も大きな目標の一つ。「恩師の福岡先生が作った近大の腫瘍内科は非常にオープンな雰囲気で、若い人にもチャンスを与える環境がありました。同じように、一人でも多くの専門医を育てていきたい。診療と同時に研究にも力を注げるような、バランスのある若い医師を育成していきたいですね」

先端がん治療センター
島根県出雲市塩冶町89ー1 ☎️0853ー23ー2111(代表)
https://www.med.shimane-u.ac.jp/hospital/cancer/

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