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最善の治療を考えられる呼吸器外科医を目指す

最善の治療を考えられる呼吸器外科医を目指す

近畿大学医学部外科学教室 呼吸器外科部門 光冨 徹哉 主任教授(みつどみ・てつや)
1980年九州大学医学部卒業。米国立癌研究所、
愛知県がんセンター中央病院呼吸器外科部長などを経て、2012年から現職。

 「日本肺癌(がん)学会」理事長を務めるなど、肺がん治療に貢献する近畿大学医学部外科学教室呼吸器外科部門の光冨徹哉主任教授。2012年からは大学医学部主任教授として次世代の呼吸器外科医の育成に力を注ぐ。

―肺がんによって亡くなる方は国内で7万4000人超と推計されています。

 がんで亡くなる方の中で最も多いのが、肺がんによる死亡です。男性に限って言えば、死亡数も、死亡率も最も高くなっています。

 ここ20年で肺がんの薬物治療は大きく進歩しました。ドライバー遺伝子異常を標的とする分子標的治療や、免疫チェックポイント阻害薬などが登場し、予後は大きく改善しています。

 肺がんと戦う以上、手術に限らず、さまざまな〝武器〟を持つ必要があります。外科医だから手術専門というわけにはいかない。治療薬についても理解し、患者さんにとって、どのような手段が最善かを考えられる呼吸器外科医を育てたいと考えています。

 私は、アメリカ国立癌研究所に留学していたころ、肺がんの遺伝子について研究をしていました。肺がんの患者さんの遺伝子には何らかの異常が起きているということはわかりましたが、それ以上は何もできませんでした。

 その後、肺がん領域でEGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異やALK融合遺伝子といったドライバー遺伝子変異が見つかりました。帰国していた私は、愛知県がんセンター中央病院でこれら薬物の治験などに携わることができました。

 肺がんの治療体系は大きく変化しています。教室では治験に参加するなど、新たな治療法の開発にも積極的に関わっていきたいと考えています。

―12月開催の第60回日本肺癌学会学術集会会長。9月からは世界肺癌学会理事長を務められる予定です。

 日本肺癌学会は一臓器がんを取り扱う職種横断的な学会です。診療科や職種の垣根を越えて、多くの方が参加します。今年は、ニボルマブに代表される免疫療法など、トピックもさまざまです。

 第60回の節目の開催となるため、記念になるものを残したいと考え、肺がん治療の歴史についてひも解いてみることにし、それをまとめた冊子を作成中です。

 調べますと、1910年の肺がん患者数は国内で768人。2018年の新規罹患者数が12万5100人と推計されていることを考えると爆発的な増加です。

 100年余の間に、がん種が細かく分類されるようになり、さまざまな治療方法も開発されました。生存率も、少しずつ延びています。これらについて、資料を残す必要があると思います。

 学会のもう一つのテーマが国際化です。海外、特にアジア諸国の若手研究者に演題発表をしてもらうよう働きかけています。

 日本肺癌学会は昨年から肺がん医療を担う研究者育成を目指す「プリセプターシッププログラム」を実施しています。

 プログラムには海外の若手研究者に参加してもらったり英語コースを設けたりと国際化に対応できるような取り組みに力を入れています。

 肺がんの手術件数は、国内の多い病院で年間500例程度。一方、先日訪れた上海肺科病院では年間手術が2万例と驚異的でした。わが国は一定水準以上の病院が多くあり、アクセスが良いのですが、国際競争力では劣る点を考えていく必要があります。

 世界肺癌学会総会が今年9月にスペイン・バルセロナで開催されます。この総会終了後から同学会の理事長を2年間務める予定です。

 世界規模でみても、肺がんの患者数、死亡者数は増加しています。新たな薬物療法も取り入れながら、各国と連携して肺がん撲滅を目指していきます。

近畿大学医学部外科学教室 呼吸器外科部門
大阪府大阪狭山市大野東377―2
☎072―366―0221(代表)
https://www.med.kindai.ac.jp/laboratory/thoracic_surgery/

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