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普遍的な医療で市民の健康を守る

普遍的な医療で市民の健康を守る


病院長(おおた・しゅういちろう)

1980年岐阜大学医学部卒業。
同附属病院麻酔科講師、岐阜市民病院麻酔科部長、同副院長などを経て、
2020年から現職。

 2021年に開院80周年を迎える岐阜市民病院。地域医療支援病院として、他の医療機関との連携に積極的に取り組む。病院長の太田宗一郎氏に、自身が医師を目指した経緯や運営方針を聞いた。

父を親身に治療する医師の姿に憧れ

 実家は岐阜市民病院の近隣にあったうどん屋。注文の電話で父親は出前に出かけ、戻ると医師や看護師と話したことを教えてくれ、病院や医療に自然と興味を持った。慢性僧帽弁狭窄症を患っていた父に対し、親身になって治療する内科の医師の姿に、「子供心にもお医者さんはすごいと思っていました」 

 進路に悩んでいた1970年代は、経済が目覚ましく発展し、外向き志向が強い時代。「家業とは違う世界で仕事がしたかったんです」。うどん屋を継がなくても父に納得してもらえる方法はないだろうか。当時、エンジニアや弁護士などと並んで人気の職業だった医師を目指せば許してくれるはず、と選んだ道だった。

 縁あって医師として再びこの地に戻り、2020年、病院長になった。

心にひびく医療の実践を

 岐阜市民病院は2019年、地方公営企業法の財務規定のみを適用する一部適用から、予算原案の作成や職員の採用などの権限が得られる全部適用に移行した。これに伴って、前病院長の冨田栄一氏が病院事業管理者と病院長を併任し、1年後に当時副院長を務めていた太田氏が病院長職を引き継いだ。

 「就任早々新型コロナウイルス感染症への対応に追われ、その日々が今も続いています。病院長に就任した実感は今もありません」と苦笑する。院内に立ち上げた新型コロナウイルス対策本部では、関係部署の代表者による討議を行っている。診療方針を決定し、職員に周知徹底する役目を担い、現場で不具合が発生した場合は、直ちに修正。試行錯誤の日々はまだまだ続く。

 「誰も経験したことのない有事の中でも勇敢に献身的に、そして注意深く役割を果たしてくれる全職員に深く感謝している。この有事を機に病院全体が一丸となって当院の理念の『心にひびく医療の実践』を全力で展開していきます」と力を込める。

 冨田氏を中心に策定したこの理念は、WHO憲章の健康の定義である肉体的、精神的、社会的に全てが満たされた状態を「心」という言葉に集約し、病院が実践する医療の目標としている。

 「冨田先生は常に人間の尊厳が保たれ、生活の質が確保される医療提供に努めることが自身の心にも響く仕事につながる、と語っています。再度、この言葉の意味を噛み締めたいです」

医療の質向上が経営健全化に直結

 病院運営の目標の一つは、高度急性期病院としての機能強化だ。「地域がん診療連携拠点病院として集学的治療による高い治療効果を求め、患者さんの身体的負担が少ない低侵襲治療も積極的に進めていきます」

 病院経営の健全化も病院長として重要な目標で、全部適用への移行によって、これまで以上に効率的、効果的な経営に向けた取り組みが可能になったという。病院経営に企業経営の視点を取り入れるようになって、職員の意識の高まりも感じている。「普遍的な医療を忘れない経営を継続し、市民の健康向上に貢献していきます」

 人材確保と育成にも力を注ぐ。全国的に見直しが求められている医師の長時間労働を前提とした診療体制では、特に夜間、休日の救急医療を担う医師の負担軽減を喫緊の課題と捉え、改善を目指す。それは、患者だけでなく、職員全員も「笑顔になれる病院」という高い目標を掲げているからだ。

岐阜市民病院
岐阜市鹿島町7ー1 ☎︎058ー251ー1101(代表)
https://gmhosp.jp/

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