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早期リハビリ介入で患者のQOLを向上

早期リハビリ介入で患者のQOLを向上

鳥取大学医学部附属病院リハビリテーション部
萩野 浩 部長(はぎの・ひろし)

1982年鳥取大学医学部卒業。
米クレイトン大学骨粗しょう症センター、鳥取大学医学部整形外科講師、
同附属病院リハビリテーション部副部長などを経て、2004年から現職。
鳥取大学医学部保健学科教授兼任。

 県西部の基幹病院として、地域医療を支える鳥取大学医学部附属病院。2002年設立のリハビリテーション部は、社会の高齢化や症例の多様化に対応しながら、機能回復や社会復帰をサポートしている。萩野浩部長に、現状と今後の抱負について聞いた。

─概要を教えてください。

 リハビリテーション部の診療患者数は1日平均100人で、うち90人が入院患者。その中の約40人が訪室(往診)患者です。患者の3分の1が整形外科、3分の1が脳疾患。残りは呼吸器や心臓、悪性腫瘍などの疾患です。

 近年はリハビリの件数が増加しており、対象領域も広がっています。例えば、心不全に対しては心臓リハビリが必要になりますが、従来の開胸手術に加えて、血管内で弁置換術を行う場合もあります。また、NICU(新生児集中治療室)では、超未熟児に対する関節可動域の維持なども担当しています。急性期は変化が早く、疾患ごとに異なるリスクがあるので、スタッフの専門分野をある程度分けて配置し、各診療科の専門に長けた医師の協力を得て診療することになります。診療科を縦糸だとすると、リハビリテーション部の医師は横糸のような役割で、全ての診療科と関わりを持つことになります。

 現在は感染症指定医療機関として新型コロナ患者を受け入れており、特に高齢の患者は呼吸器のリハビリが必須となっています。ゾーニングや感染予防対策を徹底していますが、症状もさまざまであるため、スタッフにとってはストレスのかかる部分だと思います。

─注力していることは。

 急性期の治療は救命や疾病の集中的な治療が主体となりますが、リハビリの早期介入も重要です。リハビリを後回しにした結果、廃用症候群が進み、胃がんは治ったけれども立てなくて家に帰れないという事例もありました。現在は診療科の医師の理解を得た上で、術前から指導を行い、手術直後からリハビリを開始。ただし、超高齢化の影響で90代以上でも手術をする傾向があり、どのような対応ができるのかが課題になっています。

 リハビリのニードは高まっているものの、人手不足で対応できないという課題もあります。周術期や骨折後、脳卒中後などにできる限り廃用にならないよう配慮して、日常生活動作を維持できるようにと考えています。

 がんのリハビリでは、終末期の患者さんがたくさんいます。いかに高いQOLを保ち、人としての尊厳を守るのか。いかに痛みがないよう安寧を保ち、終末期を迎えられるようにするのか。そこに専門家の介入が求められています。実際に関わっていくと患者さん本人の顔色が変わって、明るくなっていきます。マンパワーや保険診療の制限はありますが、今後力を入れていきたいと考えています。

─今後の抱負を。

 人材育成については、回復期の病院との交流研修を行っています。急性期病院のリハビリしか経験していないスタッフが増えているため、さまざまな現場を経験し、患者さんの回復期や在宅復帰まで考えられるスタッフを育てていきたいと考えています。

 在宅療養中の方や高齢者を介護状態にしない方策も、われわれの課題です。そのため、米子市のフレイル対策、ロコモ対策に協力し、健診で運動指導を行ったり、米子市の運動のプログラムを一緒に考えたりしています。

 今後も、人口減・高齢化が進む山陰で、いかに地域に貢献できるかを考えていきたいと思います。「ピンピンコロリ」ではありませんが、元気に自分の足で歩く生活をしてほしい。入院することや障害が残ることがあっても、将来の在宅生活をよりよく改善できるような介入を心掛けていきたいと思います。

鳥取大学医学部附属病院 リハビリテーション部
鳥取県米子市西町36─1
☎0859─33─1111(代表)
https://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/establishment/rehabilitation/

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