九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

日頃からの連携が有事でも生きる

日頃からの連携が有事でも生きる

倉智 博久 総長(くらち・ひろひさ)
1976年大阪大学医学部卒業。米国立衛生研究所留学、
山形大学医学部産科婦人科教室教授、大阪府立母子保健総合医療センター
(現:大阪母子医療センター)病院長などを経て、2016年から現職。

 開設から40年、大阪府の周産期・小児医療の要として高度医療を提供してきた大阪母子医療センター。行政や医療機関との連携システムの拠点でもある。新型コロナウイルス感染症対策で、病院の機能はどう発揮されたのか。


―小児、妊産婦の受け入れ状況について。

 第4波までは、小児の新型コロナ感染患者は少なかったのですが、第5波で様相は一変しました。小児の感染が急増。妊婦も同様です。これに対応するため、2021年9月1日には、一般病棟1棟( 31床)をコロナ専用病棟としました。

 当センターにおける小児と妊婦の新型コロナによる入院は20年の1年間で計3人。それが21年には9月6日までの時点で新生児を含む小児が32人、妊婦が7人に上っています。外来は小児9人、妊婦4人。府の重症者病床が逼迫(ひっぱく)した際には一部、成人の患者も受け入れました。

 小児は、基礎疾患が重症化したケースが1例ありましたが、それ以外は全員軽症です。妊婦は分娩(ぶんべん)が近づく妊娠後期になるとリスクが高まるものの、実際にコロナが重症化して転送したのは1人。当院でそのまま出産を迎えるケースがほとんどです。

 成人を受け入れている病院との大きな違いは、面会などを禁止にしていない点です。分娩時のパートナーの立ち会いは希望があれば可能。子どもへの保護者の面会も制限はありつつ、禁止にはしていません。

 感染対策という点では難易度が上がりますが、われわれが大事にしている部分であり、「禁止にしないでほしい」という声が、助産師や看護師から上がったことをありがたく思います。


―地域との連携は。

 新型コロナ患者の受け入れにおいて、役立ったのは大阪府の周産期医療施設間で運用してきた二つの連携システムでした。

 救急対応が必要な重症妊産婦を適切な高次医療機関に搬送するためにつくられている府の「産婦人科診療相互援助システム(OGCS)」は、新型コロナに感染した妊産婦の搬送に関しても、迅速な受け入れ先決定に力を発揮しました。新生児の搬送についても、「新生児診療相互援助システム(NMCS)」が同様の機能を果たしました。

 また、当センターが新型コロナ専用病床を拡大する前の時期には、比較的軽症な患者さんを近隣の医療機関に受け入れていただくなどしました。日頃の連携と、地域で協力し合うことの大切さを、改めて実感しています。


―これまでを振り返って、感じたことや今後の展望を。

 20年3月の時点で、病院長を中心に感染対策メンバーでチームを立ち上げました。スピーディーに方針決定ができたことは大きなメリットでした。

 院内の検査体制も早々に構築できました。これは、併設する研究所の感染症部門にPCR検査の専門家がおり、尽力してくれた結果です。独自の検査キットも開発し、変異株の検出で厚生労働省の積極的疫学調査にも協力しています。

 感染管理については、職員、出入り業者も含め、PCR検査を積極的に実施しました。同時に、PCR検査では見つけきれないことも想定し、それに頼らずに、体調管理や行動制限もかなり厳密にさせてもらいました。みなさんよく守ってくれていることが、9月末までの時点でクラスター発生を抑制できていることにもつながっていると思います。

 今回の経験で、普段からの感染対策や、非常事態に対する備えの重要性を再認識しました。BCP(事業継続計画)を見直すとともに、実地訓練の必要性も感じています。また、今回初めて活用した電話再診だけでなく、一定の安定期に入った妊婦に対するオンライン診療も、もう少し進めたいと考えています。

地方独立行政法人大阪府立病院機構
大阪母子医療センター
大阪府和泉市室堂町840
☎0725-56-1220(代表)
https://www.wch.opho.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる