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日本看護協会の提案から考える 看護職の「働き方改革」

日本看護協会の提案から考える 看護職の「働き方改革」

 新型コロナウイルス感染症対応を理由に看護職が離職した病院は、15・4%。感染症指定医療機関などでは21・3%―。2020年秋、日本看護協会が実施した調査で、明らかになった数字だ。看護職の離職をどう防ぐのかが、病院運営の課題の一つとなっている。21年3月、同協会は「就業継続が可能な働き方」の10項目を提案。看護職が働き続けられる病院づくりを考える。

「44・9%」が離職を検討中

表:「就業継続が可能な看護職の働き方の提案」 5要因10項目

 同協会によると、2019年に実施した「病院および有床診療所における看護実態調査」からわかる就業継続が可能な働き方に関連する基本的な要因は、「夜勤負担」「時間外労働」「暴力・ハラスメント」「仕事のコントロール感」「評価と処遇」。それぞれの要因に対して対応策を提示したのが、今回の5要因10項目の提案(=表)だ。

 同調査によると、勤務間インターバルが、心身の疲弊を蓄積させにくい「11時間以上あける」が実行できている病院は、44・0%で、導入を検討中が43・3
%。5年前の調査でも11時間以上のインターバルがある病院が42・0%だったことから、導入が進んでいない状況がわかる。

 勤務時間外に院内で開催する研修の参加時間を時間外勤務として扱っている病院は、「一部扱っている」を含んで71・1%。一方で、扱っていない病院も26・4%あった。

 暴力・ハラスメントについても、半数を超える病院が対策を講じているが、なかなかなくならない状況が明らかに。病院勤務の非管理職で離職を考えている人は44・9%にも上り、現在の病院で働き続ける条件では「仕事に見合った賃金額」が43・9%と最多、「時間外労働(残業)が少ない」が24・1%で続いた。

 離職を検討する理由や離職の原因から見えてくる、看護職が働き続けられる病院の姿。各病院で問題点の抽出から始め、実態に合った働き方改革を進める必要がありそうだ。


日本看護協会担当理事に聞く 「」の今

看護職の働き方改革は経営面でも利点

 看護職の離転職の原因は大きく分けて、①結婚によるもの②キャリアアップのため③働き方や報酬など病院への不満の三つがあります。

 日本看護協会では少子高齢化の中で、看護職を増やす必要があり、そのためには、看護職が長く働き続けられる環境を整えなければならないと考え、働き方改革に取り組んできました。

 今回の提案は、各病院に、全ての項目について取り組んでほしいと提示するものではありません。各病院が、自分たちの病院の看護職がなぜ離職しているのか、その原因を分析し、病院長、事務長、看護部長が原因を共有し、問題解決のためのPDCAサイクルに乗せる際に、参考にしていただきたいと考えています。

 日本看護協会では、2019年度に「看護業務の効率化 先進事例アワード」の表彰を開始。表彰された医療機関の事例などを掲載した働き方改革に関する「看護業務効率化 先進事例収集・周知事業ポータルサイト」も作成し、情報を発信しています。

 残業時間がなくなったことで、看護職が自分の時間を使って勉強するようになり、一人一人の看護の質が上がり、患者満足度が向上するといった好循環が生まれた急性期病院の事例のほか、合併症の減少で病床稼働率が上がり、経営面でもメリットが出ている病院もあります。サイトもぜひ、ご覧いただけたらと思います。

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