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日本最南西端で離島医療を守る

日本最南西端で離島医療を守る


病院長(しのざき・ゆうこ)

1988年金沢医科大学医学部卒業。
沖縄県病院事業局医療企画監、沖縄県立中部病院副院長、
沖縄県立八重山病院副院長などを経て、2018年から現職。

 沖縄県石垣市にある八重山病院は、八重山地域一帯の離島医療を支えている急性期中核病院だ。病院長である篠﨑裕子氏は、地域の行政機関との協力関係を重視しており、昨今の新型コロナウイルス問題においても、関係機関と共にスムーズな対応を実現している。

―病院長に就任以降の取り組みは。

 最初の大きなミッションは、病院の新築開院に向けた引っ越しを無事に終えることでした。私が病院長に就任したのは2018年4月、その際に同年10月の引っ越しも託されたのです。

 当院は八重山地域で唯一の急性期中核病院であり、救急、周産期、精神、小児医療などは他の病院に頼れません。引っ越しによって休むわけにもいかず、その調整には苦労しました。その他、引っ越しの際は台風の影響を受けて開始時刻を遅らせるなど、大変なことも多かったのですが、職員や地域の皆さんの協力を得て、無事に新病院のオープンを迎えることができました。

―病院の大きな特徴を教えてください。

 当院は日本最南西端の地域にあり、離島医療も担っています。西表島の東部と西部、小浜島、波照間島の計4カ所に附属の診療所を設けており、それぞれ1人の医師が対応。その他の島や洋上も含め、救急の患者さんは当院の医師が同乗する海上保安庁のヘリで搬送します。一方、当院では治療が難しい重症患者を沖縄本島の病院に自衛隊のヘリで搬送することもあり、それらの件数は年間で約100件に上ります。

 このような離島医療を守るには医師の確保が不可欠と、当院の病院長に就任する以前から課題に感じていました。そこで、当院の特徴や魅力を多くの人に発信しつつ、「ここで働いて良かった」と思ってもらえる環境を整備。現在は、複数の大学から定期的に医師を派遣していただいています。今後も医師の確保には継続して力を入れていきます。

―新型コロナウイルスへの対応について。

 1月から感染症内科の医師による勉強会を定期的に開催し、職員に情報を共有。また、地域での感染状況に応じて、陽性患者の受け入れ可能な病床数を9床から13床、その後21床まで増やすことも想定していました。これまでに最も入院患者が多かったのは8月上旬の13人で、幸いなことに大半は軽症でした。

 しかし、今後はどうなるのか分かりません。当院にはECMOがなく、重症の患者さんには対応できないので、その場合は沖縄本島へ搬送する予定です。すでにそのシミュレーションも入念に行っています。

 また、新型コロナウイルスへの対応には、病院だけでなく自治体などの協力も大切です。石垣島で初めて陽性患者が確認された際、沖縄県の八重山事務所が率先して対策会議を立ち上げました。そこには当院を含む地域の主要病院、医師会、各自治体、警察、海上保安庁の関係者が一堂に会し、毎日のように情報を交換。実際に患者さんが増えた時期も、各機関が連携してスムーズに対応できました。

―今後の展望は。

 地域の医療、離島医療を守るために「災害に強い施設」を目指したいと思っています。そのためには、当院だけでなく、地域の皆さんと互いに協力し合うことが重要です。今回の新型コロナウイルスへの対応では、協力体制が非常に良くできました。今後もこのような形を維持しながら、地域の皆さんと共に歩みたいですね。

 現在の沖縄県は観光客が激減しており、経済的に大きなダメージを受けています。個人としては、現時点で積極的に県外の人を受け入れるのは難しいと感じていますが、新型コロナが収束した際はぜひ訪れてほしいですね。私たちが島の医療をしっかりと守っていますので、安心して観光に来てください。

沖縄県立八重山病院
沖縄県石垣市真栄里584―1
☎0980―87―5557(代表)
https://yaeyamaweb.hosp.pref.okinawa.jp/

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