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新病院建設で踏み出す新たな一歩

新病院建設で踏み出す新たな一歩

荒尾市 大嶋  壽海 (おおしま・ひさみ)
1980年熊本大学医学部卒業、同第二外科入局。九州厚生年金病院、国立療養所松戸病院、
荒尾市民病院外科科長、同病院長などを経て、2009年から現職。

  福岡と熊本の県境、かつて炭鉱の町として栄えた荒尾市。荒尾市民病院は、この地域の中核病院として、70年余の歴史を刻んできた。今、新病院の建設が始まろうとしている。

―市民病院の建て替え計画があります。現状は。

 当院の病院建物の多くは築50年ほど。老朽化が進み、療養環境は悪くなっています。

 さらに、耐震基準をクリアしているのは、救急外来棟と中央病棟のみ。災害時の医療継続のためにも、耐震補強または建て替えが、喫緊(きっきん)の課題でした。現在の敷地と南側の隣接地を活用することで、建設場所も決まり、ここにきて、ようやく動き出せたという感触です。

 新病院の開院予定は、2022年6月。現在、地質調査や文化財調査を行っています。建物は1棟で、地下1階、地上5階建て。全274床で、感染防止やプライバシーへの配慮などを目的に、病室はすべて個室にする計画です。

 また、災害拠点病院の要件を満たすべく、耐震機能を強化し、停電や断水でも機能を維持できる発電機や受水槽、井戸設備などを整備。屋上にはヘリポートを設けます。ヘリポートは、救急時にも活用し、地域救命救急センターを目指して、実績を積んでいきたいと思っています。


―現在の荒尾市民病院の特色について。

 最も大きな特色は、「自治体病院であること」です。当初は荒尾・大牟田両市の共立病院でしたが、1949年に荒尾市立病院に組織変更。その後、現在の病院名となりました。「荒尾市に市民病院を」と、地域に強く望まれて誕生した病院だと言えると思います。

 荒尾市では唯一の急性期病院であり、中核病院として高度な医療の提供を目指し、日々奮闘しているところです。また、小児や周産期といった部門や、感染症への対応など、政策医療についても、充実させていく必要があります。

 社会の高齢化によって、老老介護の世帯も多くあります。地域の病院で手術などの急性期の治療が受けられるようにすることは、市民の安心感にもつながります。生まれ育ったところ、生活してきたところで、治療できる「地域完結型の医療」の実現を目指しています。

 当院は、県内に6カ所ある国指定の地域がん診療連携拠点病院の一つで、県北地域では唯一。そのほか、がん診療拠点病院が1カ所、県指定のがん診療連携拠点病院が11カ所あります。

 がんについては、治療の三本柱である手術、放射線治療、化学療法を中心に対応しています。ただ、現状は、呼吸器内科医が少ないことが課題です。増加する肺がんの患者さんを含め、高齢化の進行によって増加すると想定される呼吸器疾患にしっかりと対応できるよう、策を練っていきたいと考えています。

 県からは「脳卒中急性期拠点病院」「急性心筋梗塞急性期拠点病院」の指定も受けています。脳卒中、心筋梗塞も、チーム医療で対応しています。脳神経内科に3人、脳神経外科に2人の常勤の医師がいますのでお互いに連携を取り、治療を進めています。

 ここ有明地域は、65歳以上の高齢者の割合が3割を超えています。肺がんやじん肺症(珪肺など)といった呼吸器内科系の疾病の患者さんの割合が高いことが特徴の一つで、糖尿病の方も多くいます。いずれの疾患も、長期的なフォローと医療機関や診療科の垣根を越えた連携が必須です。

 今、市の医師会の先生方と共同で、医療者・患者間で「荒尾健康手帳」の運用を始めています。イメージは母子手帳の荒尾版。患者さんに持っていただき、クリニックの医師や病院の医師が、患者さんの状態などを書きこみます。多くの「目」で患者さんを見守り、情報を共有していく―。患者さんを中心に、連携できる仕組みを実施しているところです。



熊本県荒尾市荒尾2600
☎ 0968─63─1115(代表)
http://www.hospital.arao.kumamoto.jp/


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