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新専門医制度に柔軟に対応 多様化するキャリアパスと育成

新専門医制度に柔軟に対応 多様化するキャリアパスと育成

長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 先進予防医学共同専攻(第一内科)
川上 純 主任教授 ( かわかみ・ あつし

1985年長崎大学医学部卒業。米ハーバード大学ダナ・ファーバーがん研究所、
長崎大学大学院展開医療科学講座(現:先進予防医学共同専攻)准教授などを経て、
2010年から現職。

 新専門医制度開始から約2年。制度改革によって医師のキャリアパスが多様化している。長崎大学第一内科では、川上純主任教授が中心となって、若手医師のキャリアパスサポートシステムを構築している。

―現在のシステムについて。

 2004年に新しい臨床研修制度がスタートして以来、私たちはいち早く若手医師のキャリアパスをサポートするための教育システムづくりに取り組んできました。それが臨床を主体とした「クリニカルエキスパートコース」と、研究を主体にした「アカデミックエキスパートコース」です。

 近年、臨床と研究の垣根が低くなり、内科医に求められるキャリアパスも非常に多様化しています。大学院における研究テーマも基礎研究から、患者さんの診療情報を元にした臨床研究、その橋渡しをするトランスレーショナル研究が盛んになってきています。そのような時代の流れに合わせて、若手医師のキャリアパスサポートシステムも、さらに臨床と研究を融合した内容に変える必要があります。

 2018年度に新しい内科専門医制度が導入されました。新制度では医学部を卒業して2年間の初期研修を終えた後に、専攻医として3年間の内科専門研修で基本領域を修了。内科専門医を取得し、さらに1年間サブスペシャリティ専門研修を経て、その専門医試験を受けることができるようになります。

 サブスペシャリティとは、内科の基本領域の中でさらに細分化された領域で、第一内科にはリウマチ・膠原病内科、内分泌・代謝内科、脳神経内科があります。

 現在の医療は高度化が進むと同時に、各医療分野で細分化が進んでいます。新しい内科専門医制度はそのような社会的なニーズに合わせた医師を育成することを目標に導入されたものであり、長崎大学病院としては専門医制度の変更に対応し、より良い内科医、より良い専門医になってもらうためのサポート体制を整えています。

―今後、内科専門医に求められるスキルとは。

 ガイドラインから外れた症例に遭遇した場合に、何が重要かを見極める力が求められています。知識を得ることも大切ですが、自分で物事を考える力が重要です。当院での内科専門医研修およびサブスペシャリティ研修では、3〜4年の間に集中して考えるプロセスを身に付けてほしいと思います。

 基本的な物の考え方は、さまざまな病気や症例に応用することができます。例えば2015年に当時のオバマ米大統領が一般教書演説の中で用いた「プレシジョン・メディシン」(精密医療)という言葉が、わが国の医療界でも語られるようになっています。現在最も進んでいるのが、がんのゲノム医療ですが、こうした先端医療に携わるためにも、自分自身で考える力を持った医師の必要性を強く感じています。

 また、医療のグローバル化も避けて通ることはできません。私が所属する日本リウマチ学会でも最近は口頭発表の30〜40%が英語で行われています。専門医研修を行いながら大学院で研究テーマを決めて学位の取得を目指す環境の中で、グローバルな感覚を身に付けることは、臨床医として必ず役に立ちます。

 新専門医制度は始まったばかりですので、私たちの病院や講座でも、実情に合わせながら教育システムを随時変更、改定していきたいと考えています。いずれにせよ、われわれがキャリアパスの明確な指針を示す必要がありますので、新しい教育システム「キャリアパスサポートシステム」をホームページにもアップしたいと考えています。

 当科では臨床教育に加え、さまざまな研究にも力を入れており、最近ではクラウドファンディングを用いる関節超音波研究「シンプルな超音波機器の開発」にも挑戦しています。研究は臨床医のスキルアップにつながるので、若い方にも経験してもらえればと思います。

長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 先進予防医学共同専攻(第一内科)
長崎市坂本1−7−1
☎095―819―7200(代表)
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/intmed-1/


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