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新たな医療を 構築しながら 東北を代表する病院に

新たな医療を 構築しながら 東北を代表する病院に

独立行政法人 地域医療機能推進機構 
病院長(むらかみ・えいいち)

1981年東北大学医学部卒業。
同整形外科、釜石市民病院副院長、
JCHO仙台病院副院長などを経て、2019年から現職。

 仙台地域の医療を支えながら、慢性糸球体腎炎におけるステロイドパルス療法や、仙腸関節由来の腰痛の治療法などを構築してきた独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)仙台病院。「伝統に磨きをかけたい」と話す新病院長に、これまでの歩みと今後の方針を聞いた。

仙腸関節との出会い

 岩手県奥州市(旧:水沢市の隣町)の農家に生まれ、自然に囲まれた環境で育った村上栄一病院長。中学生までは獣医になるという夢があった。

 「父親が馬で山から木を運ぶ仕事をしていました。その影響で小さい頃から馬に親しみがあり、動物を治療する獣医という職業に魅力を感じたのです。しかし、高校時代に『馬から人』へと興味が移り、そこから医師を目指すようになりました」

 東北大学医学部卒業後は、岩手県立高田病院、東北大学整形外科・腰椎班などで研さんを積んだ。そして1992年に赴任した岩手県の釜石市民病院で、医師人生を大きく変える腰痛患者に出会う。

 「その患者さんは50代の女性で、座位やあおむけが困難な状態でした。MRI、CTでも目立った所見はなく、各種ブロックも効きません。入院も長期化し、私も何とか痛みを緩和して差し上げたいと思っていましたが、一体どこに原因があるのか分からない状態。まだ探していない部位は、動かないと信じられていた仙腸関節ぐらいしか残されていませんでした」

 そこで試しに、仙腸関節の付近へブロック針を刺し、局所麻酔剤を注入してみた。その結果、患者の痛みが見事に取れて、その後3回ほどの治療で退院できたという。

 「これには私も衝撃を受けました。それ以降、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄(きょうさく)症と診断されている腰痛の中にも、仙腸関節由来の痛みがあると考え、現在まで研究を続けてきました。小さい頃に興味を抱いていた馬などの脊椎動物の骨格と比較して、人間の仙腸関節の仕組みを研究するなどしています」

伝統を守りながら病院運営に着手

 仙腸関節研究で新たな展開を目指し精力的に活動している中、2019年4月にJCHO仙台病院の病院長に就任した。まずはこれまで培われてきた院内の一体感を大切にした病院運営を心掛けている。

 「当院は前病院長の方針で医局が一つの部屋に集約されています。このため科ごとの垣根が低く、他院から転勤してきた先生もすぐになじみやすい環境です。東日本大震災を経験したことで、職員を含めた一体感も生まれました。これは他地域にない貴重な財産ですので、今後も失わず大事にしていきたいと思っています」

新病院と共に大きなステージへ

 「2021年春には仙台市泉区に新病院が完成し、小児科、呼吸器科、脳神経内科の常勤を目指します。これが実現すれば総合病院としての陣容が整い、これまで以上に地域医療へ貢献できるでしょう」

 地域に根づき、地域に頼られ、地域が誇りに思う病院を目指すため、村上院長はさらに大きな視点で将来を見据えている。

 「東北を代表できる病院を目指したいと思っています。当院には腎疾患で多くの実績を誇る腎センターや、私がセンター長を兼ねる腰痛・仙腸関節センターなどがあり、すでに東北をはじめ全国各地から患者さんが来院しています」

 新病院は高速道路や空港からのアクセスが良く、他県からも訪れやすいため、さらなる患者増が見込まれる。

 「重要なのは患者さんをしっかりと治せる病院であることです。患者さんの訴えに耳を傾け、新たな医療を生み出し続けながら、東北地方における医療の中心になることを願っています」

独立行政法人 地域医療機能推進機構 仙台病院
仙台市青葉区堤町3ー16ー1 ☎022―275―3111 (代表)
https://sendai.jcho.go.jp/

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