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新しい地域密着型の医療を模索

新しい地域密着型の医療を模索


理事長・最高経営責任者(あいざわ・たかお

1973年東京慈恵会医科大学卒業。信州大学医学部附属病院、
社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長・院長などを経て、2017年から現職。

 相澤病院は、長野県松本市で110年以上にわたって地域に根差した医療に取り組んできた歴史のある病院だ。現在は、従来の急性期医療に加えて、地域包括ケア病棟に特化した相澤東病院、そして各種の在宅支援サービス事業をそろえ、グループ全体による新しい地域密着型の医療を展開している。

—相澤病院の歩みは。

 相澤病院の歴史は、1908年、私の祖父が松本市に開設した相澤医院から始まります。祖父は、地域住民との関係を重視しながら、住民が必要とする医療とは何かを常に問いかけつつ医療活動を続けた人でした。医療の主役は地域住民であり、病院は住民の命や健康を守るために支援していくという考えです。その考えは、現在もしっかりと受け継がれています。

 当時、病院に求められていたのは救急医療を核とした急性期医療の充実。近年までは急性期病院として施設拡充、高度医療の積極的な導入を図ってきました。

 しかし、最近は高齢の患者さんが増加し、なおかつ急性期治療後の受け入れ先に難渋するケースが目立つようになりました。それは、私たちが提供すべき医療が転換期に来ていることを示していると考えています。

 私たちは、松本市やその周辺に訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所などを開設して、在宅医療をサポートすることから始めました。しかし、それだけで解決できるものではなく、依然として相澤病院の中に急性期治療を受ける人と、生活を支えるための医療を受ける人が混在している状況です。

 そこで、一つの病院で二つの医療を提供する矛盾を改善することが、地域住民の安心につながると考えました。その結果、相澤病院の急性期病床を削減。そして、新たに包括ケア病棟のみで在宅療養者を直接受け入れる相澤東病院の開設となったのです。

 移行の際には人事評価とそれに伴う給与制度も変えました。頑張った人が評価され、その評価が給与に反映されるようにしたのです。医師、看護師はもちろん、理事長である私自身も、しっかり評価を受けています。

—地域密着型の医療を展開されています。

 2016年に開設した相澤東病院では、退院後、患者さんが自宅に戻り、地域のかかりつけ医の元で安心して医療が受けられるようフォローしていく体制を整えています。地域在宅医療支援センターと協働して、地域に密着した医療・介護サービスの提供も進めています。

 相澤病院の近くに開設したサービス付き高齢者向け住宅の利用も可能です。慣れ親しんだ土地で安心して生活を送れるよう、地域の医療機関が連携して、在宅支援に取り組む必要が今後はもっと増えるでしょう。

 一方、相澤病院の急性期医療については、人口減少に伴い、需要の減少が予想されます。急性期をどのように維持していくかを考える時期にきています。

 地域の他の急性期病院とも互いに協調しながら、地域住民が求める医療を提供していくにはどうするのか。それぞれの医療機関が役割を考え、連携の仕組みを構築していく必要があると考えています。

—今後の展望について。

 相澤病院に入院する患者さんのうち、誤嚥(ごえん)性肺炎の患者さんが、3年ほど前から減少。市中肺炎の患者さんも同様の傾向があります。この背景には、地域の医療機関での受け入れが増えているのではないかと推察しています。

 一つの病院の運営だけを考える時代ではありません。少しずつですが、地域医療の連携が進みつつあることを実感しつつ、相澤病院としても、慈泉会としても「治す医療」と「支える医療」を地域に提供するべく努力を続けていきたいと考えています。

社会医療法人財団慈泉会 相澤病院
長野県松本市本庄2—5—1
☎0263—33—8600(代表)
http://www.ai-hosp.or.jp/

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